音質面で特筆したいのは、ボイスレコーディング(録音)機能だ。
携帯オーディオプレーヤーで録音機能を搭載する製品が増えてきたが、専用のICレコーダーなどと比べると音質や操作感で一歩も二歩も譲るものが多く、ほとんどが「オマケ機能」の域を抜けきれていなかった。
VHD-1500が、これまでの録音機能付きオーディオプレーヤーと根本的に違うのが“音質重視の仕様”だ。本体内部にMP3エンコーダ機能を搭載し、ICレコーダーでも一部機種の採用に留まっている高音質なMP3形式での録音が行える。しかも、ビットレートは64/128/196Kbpsの3段階から選べるという本格的なものになっている。1.5Gバイトの内蔵HDDに最大350分(64Kbps時)の長時間録音が行えるというのも、MP3形式で録音できるボイスレコーダーとしては最長クラスだ。
録音した音質も、ボイスレコーダーとしてはトップレベル。一番低いビットレートの64Kbpsでも、へたなICレコーダーよりずっとクリアな音質で録音が行える。それもそのはず、フラッシュメモリなど記録容量が限られた製品の多いICレコーダーは、音声データをかなり高圧縮にして長時間録音に対応している。一方、HDDを使ったVHD-1500は、1.5Gバイトと余裕の大容量を生かして音質をあまり劣化させずに録音することができるのだ。
録音時もメニューの深い階層まで降りるといった面倒さはなく、左側面に装備された録音ボタンを長押しするだけという専用機並みのイージーオペレーションを採用。録音モードが立ち上がる(MP3エンコードシステムの起動)に3秒ほどかかるのが惜しい点だが、どんな状態からもワンボタンですぐに録音できるVHD-1500は、十分ICレコーダー代わりに使える。
また、付属のライン入力ケーブルを使ってCDプレーヤーなどオーディオ機器から音楽を直接MP3ファイルに変換できる「ダイレクトエンコード機能」も搭載している。パソコンを使わずにデジタルオーディオ生活を楽しめるというのも、パソコンからのデータ転送を前提としたiPodシリーズはじめ多くの携帯音楽プレーヤーにはないメリットだ。
さらに周波数自動検索/オートプリセット機能を備えたFMチューナーを搭載。ヘッドフォンケーブルをアンテナにする方式だが、付属のものでなく自前のヘッドフォンでも受信感度は変わらず良好で、室内や電車の中でも主要キー局はクリアな音質で聴けた。ただし残念ながら、クリエイティブメディアMuVo TX FMのようにFMラジオをステレオ音声のまま録音できるエアチェック機能は装備していない。
VHD-1500の価格は2万7800円と、iPod mini(実売2万8000円前後)と価格面でも競合する。最大の違いはHDD容量だが、1.5GバイトでもWMAに対応したVHD-1500なら約800曲(64KbpsのWMAで1曲4分で計算)もの記録が行えるため、WMA非対応のiPod miniとの容量面での差はわずかだ。音質も両機種にほとんど違いは感じられなかった。
寝ている時間以外は音楽を楽しめる18時間連続再生、軽量なボディ、ICレコーダーにも勝る音質の録音機能、FMチューナー内蔵――。この中のうち、どれか1つでもピンとくるものがあれば、VHD-1500は“買い”だろう。
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