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コラム
» 2004年09月27日 10時40分 公開

結局、“デジタルホーム”ってなんだ? (1/3)

AV機器やシロモノ家電などは今後、互いに“つながっていく”方向にある。だが、現在の問題は、技術的に可能かどうかよりも、どうやっったらそれが一般の人々から必要とされるのか、その着地点をきちんと見つけ出すことなのではないだろうか。

[小寺信良,ITmedia]

 最近IT系のニュースでは、「eライフ」とか「デジタルホーム」という言葉をよく見かけるようになった。映像や音楽系のデバイスがIT化するにしたがって、個々の製品が孤立しているのはおかしい、ということになってきている。

 例えばデジタルレコーダーはネットワークにつながるようになり、LAN上のPCから、あるいはWAN側から予約や状態確認などが行なえる傾向が強まっている。

 しかしそれは言ってみれば、「個」対「インターネット」という図式である。これからの課題として、「個」対「個」でつながることが重要とされている。

 実際にデジタル放送が本格化し、すべてのコンテンツがデジタル化すれば、当然テレビやレコーダーの接続方法も変わってくる。

 デジタル放送の受信にはB-CASカードが必須とされているが、例えばまあリビングのテレビはいいとして、その下にある数台のレコーダーすべてにB-CASカードがささり、キッチンにある小型液晶テレビにも、デジタルチューナー搭載ノートPCにも全部ささっている、ということになるのだろうか。

 どうもそういう世界は想像しがたい。いくら登録がタダだからといっても、B-CASカードそのものやリーダー、あるいはライセンス料がコストとしてかかっており、それらは確実に製品価格内に反映されている。

 さらにこういう取り外せるものは、「ある」状態と「ない」状態の差別化が必要だから存在するわけで、すべての機器が「ある」状態になってしまえば、もはや仕組みとして存在する理由がなくなってくる。

 だがテレビのような機器が、他のAV機器に対してコンテンツの権利情報を一元的に管理するようなハブとして動作すれば、割とすんなり現実的な世界が見えてくる。

 テレビで受信したEPGのデータを使って予約すれば、例え放送時間が重複していても、異なるメーカー製の複数台のレコーダーに予約が分散される。番組の視聴はリビングのテレビに限らず、ノートPCやモバイル端末でも見ることができる。これらが実現できれば、テレビを積極的に買い換える必然性を生み、需要の拡大につながっていくだろう。

どうやって実現していくか

 こういった図式は、ある意味、AV業界が掲げる理想であり、あとはそれに向かっていかに上手く折り合いを付けながらやっていくか、という実務レベルの話になる。そして最近そのあたりの動きも活発になってきている。

 DLNA(デジタル リビング ネットワーク アライアンス)は、家電やセミコンダクター企業が集まって、機器の相互接続を実現するために標準化を行なう団体である。以前はDHWG(Digital Home Working Group)と称していた。

 DLNAの活動は、現実的だ。既にある技術、UPnPやWi-Fi、MPEGのような技術を、いかに最終目的実現のために当てはめていくかということを主眼にしており、新しいプロトコルや規格をぶち上げましょうということを主として討議しているのではない。

 当然そこには、コンテンツ保護技術として、PC業界が中心となって推進している「DTCP over IP」も乗っかってくることになるだろう。どう考えても、B-CASカードだらけの世界よりはスマートだ。

 これに呼応するように、米国家電協会(CEA)がテレビの新UI標準を発表というニュースが飛び込んできた。Webブラウザベースの画面で、AV機器を操作するのだという。

 詳細は現物を見てみないことには何とも言えないが、現状はIEEE-1394による接続ということで、これは明らかにレコーダーとテレビ間の接続を示唆するものだ。映像・音声ストリーム転送とUIで1セットということだろう。

 だがIEEE-1394は規格上、ケーブル長を4.5メートル以上延ばせない。CEAではこの規格を拡張してイーサネットにも対応する計画だというが、リビングの1コーナーという狭いエリアだけで話を終わらせないようにするためには、必要な選択だろう。それはDLNAの活動とも、何らかの形でリンクしていく可能性を含んでいる。

 一方、日本では、経済産業省と電子情報技術産業協会(JEITA)の共同で、AV機器のインターネット接続における標準規格作りに乗り出している。有料コンテンツを購入する際の個人認証や課金方法などを来年度中にまとめるという。

 このあたりの仕組み作りは、インターネットでも一番難しいところであり、さらに言うならば、今までハードウェア単体の売り切りで商売してきた家電業界の、もっとも苦手とする部分である。

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