録画した番組の管理はタイトルリスト画面で行う。これは、リモコンの「HDD」「i」「DVD」のモード切り替えボタンのうちの、「i」を押せば呼び出せる。デジタル放送のデータ放送と同じ、BMLを利用したものだ(RecPOTのメニューと仕組みは同じ)。タイトルリストではタイトルごとの「再生」のほか、「消去」も可能。番組再生中の制御はチューナー側の「機器操作」でもできるが、「DVR-920H-S」のリモコンを使ったほうが反応はいい。
再生、早送り/早戻し(各4段階)、一時停止のほか、画面が一瞬乱れるがCMスキップ(押す回数で30秒/1分/1分30秒/2分/3分/5分/10分を選択)とCMバック(5秒/15秒/30秒/1分/2分/3分)も使える。スキップは番組単位のみだが、CMスキップが最大10分に対応しているので問題はないだろう。
当然ながら、リモコンの反応もいいので、視聴はなかなか快適だ(タイトルリスト画面では、BMLを使っているゆえ動作はやや鈍いが、それはリモコンのせいではないので)。ただ、チューナーを経由しての再生というデジタル放送録画の構造上、画面に「早送り 何倍速」などといった表示は出てくれない。CMスキップに関しても、押すべき回数を自分で覚えるか、本体の表示部上で切り替わるスキップ時間を見ながら操作を行うことになる。
以上のように、「TZ-DCH300」との組み合わせでも、ひととおりの操作は実行できた。説明書を読んだかぎりでは、パイオニア製品との組み合わせと同じことは、すべてできているようだ。もちろん動作確認機種として公表されていない以上、同社製品以外での使用は個人の責任において、ということになる。
ただし、いずれにせよ、デジタル放送とアナログ放送の録画機能は完全といっていいほど分離されている。つまり、デジタル放送録画領域に録画した番組は、標準NTSCに変換して、アナログ放送録画領域やDVD-RWへムーブしたりはできない。また、ほかのi.Link機器へのムーブもできないのは非常に残念だ。
アナログ放送の録画に関しては、G-GUIDE方式のEPGを利用可。TBS系の地上波チャンネルの重畳データとして送られてくるため、導入時は定時ダウンロードを待たねばならないが、以降は特に問題にはならないだろう。そして、「DVR-920H-S」の特徴となっているのが、EPGでの自動録画のアシストを行う「録画辞典」機能だ。
通常、自動録画では入力したキーワードでEPGを検索し、番組情報内に一致した語句を含むものをピックアップして勝手に録画くれる。「録画辞典」では約22万語の辞書を搭載し、キーワードを拡大解釈して検索できるという。拡大の設定は4パターンで、辞典なし(キーワードに完全一致)、小辞典(キーワードと表記が違う言葉まで含む)、中辞典(キーワードと同じグループの言葉まで)、大辞典(キーワードの連想語まで)となる。
いろいろなキーワードで試してみたが、どうも用語によってむらがあるようだ。単なるキーワード一致では、「ナインティナイン」「99」「ナイナイ」とすべて入力しておく必要のある対象番組でも、「ナインティナイン」+「大辞典」と設定すれば、すべてピックアップされた。
「グルメ」というキーワードで、中辞典まで拡大すると「味覚」、大辞典まで拡大すると「料理」といった語句までひっかかるようだ。一方で、全然だめなものもある。それ以前に、入力したキーワードがどの部分に適用されたのかを知る術がないので、いまいちぴんと来ないのだ。ただ、説明書によれば、「温泉」や「サッカー」といったテレビに関連度の高いキーワードでの拡大検索に特に有効なようだ。また、人名にも強いらしい。映画監督や俳優の場合は、代表作品も同じグループの言葉として扱われるとのこと。
そのほか、HDMI端子を装備していたり、AD変換を最小限に抑えて画質劣化の少ない信号処理を実現したフルデジタル回路「DianaCircuit」を搭載したりと、DVDレコーダーとしての性能はしっかりしている。あくまでも、通常のDVD/HDDレコーダーのハイエンドモデルとして作り込まれ、デジタル放送録画機能は付属物的に取り込んだかたちで大胆な機能アレンジなどは見受けられない。しかし、逆にいえば、オマケというには、この製品のデジタル放送録画機能は十分に実用的だと思われる。
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