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三菱が作った20万円台前半の“ホームシネマDLP機”「LVP-HC900J」レビュー:劇場がある暮らし――Theater Style(2/4 ページ)

» 2004年12月10日 23時07分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 単板式DLPにはカラー表現のため、必ずカラーホイールが使われるが、LVP-HC900Jのカラーホイール構成はRGB×2の6セグメントに僅かなホワイトパートを加えた7セグメントを採用。ホワイトパートは、画質調整の“ホワイトエンハンスメント”で10段階に使用量を決めることができ、明るさと色再現のバランスをユーザーが決めることができる。

 ホワイトパートは多く使うほど白の輝度が上がるが、立体感や色純度を重視する場合は利用量は少ない方がいい。端的に言えば、普通のテレビ放送はホワイトパートを使い、映画など作品性の高い映像を見る場合にはホワイトエンハンスメントをオフにするといった使い方となる。

 ちなみにスペックの輝度1400ルーメンはアイリス開放でランプモードが標準時の値である。ランプ低モードでは1100ルーメン、アイリス閉でランプ低モードでは650ルーメンだ。ただしホワイトエンハンスメントをオフにすると、やや輝度が落ちるようなので、650ルーメンよりもやや暗めになるかもしれない。とはいえ、パワーは十分なもので遮光さえしっかりすれば、もっとも暗く静かな(しかしコントラストは高い)モードでも100インチ以上の大型スクリーン投影でも不足は感じない。

 ランプは高圧水銀ランプの250ワットとかなりのパワーだ。そして非常にコンパクトな筐体を採用していることもあり、その冷却用ファンは昨今の液晶プロジェクターと比較するとかなり騒々しい。ランプモードが標準時はもちろんだが、低モードに設定した場合でも静かなシーンでは音が気になる。250ワットランプを小さな筐体に押し込めている事を考えれば、むしろ静音対策は健闘している方だろうが、さすがに135ワットクラスを搭載する製品との比較では分が悪い。

photo 非常にコンパクトな筐体を採用しながら、ランプはハイパワー。冷却用ファンは、液晶プロジェクターに比べてかなり騒々しい

 この点は、カラーブレーキングの問題とともに実機デモが行われている店舗などで確認しておいた方がいい。なお本機のカラーホイールは6+1セグメントの2倍速回転なので、4倍速駆動ということになる。投射する映像の場面や設置条件次第(大画面を近くで見過ぎるとカラーブレークが起きやすい)だが、カラーブレーキングはやや見えやすいタイプである。

DLPらしい立体感とヌケの良い色

 とはいえ、DLPの短所を把握した上でなお許容できるのであれば、出てくる絵は一般的な20万円クラスの透過型液晶プロジェクターよりも印象はいい。

 コントラスト4000:1という数字はともかくとして、黒浮きが少なく暗いシーンの多い映画でもしっかりと立体感を醸し出してくれる。特に暗い場面の多い映画として、今回は試聴サンプルで手元に来ていた“パッション”を選んだが、冒頭の森の中を歩くシーンから色相のブレがなく立体感のあるDLPらしい映像を見せてくれた。一方で“恋愛適齢期”のような明るい白を基調にした明るいシーンが多い映画も高い質感で描く。

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