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“冬ボ”で狙いたいホームプロジェクターバイヤーズガイド(2/6 ページ)

» 2004年12月17日 01時20分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 ただし、光量に合わせて適した映像処理を行わなければ、光量を調整してもさほどコントラストの向上やシャドウ部の階調改善が行われたようには見えない。そればかりか、うまく光量変化に追従して適切な画像処理を行わなければ、シーンごとに絵の傾向が変化したり部分的な色再現がおかしくなるなどの問題が出てくる可能性もある。特に絞りを変えるとコントラストや色が変化するため処理の難度は上がる。

 光量変化によるコントラスト向上テクニックを最もアグレッシブに使うのはソニーVPL-HS50で、コントラスト比は6000:1を実現。急激にシーンの明度が変化すると、絞りの変化やそれに伴って画像処理が行われているのが知覚でき、暗いシーンと明るいシーンではシャドウ部の色再現が大きく異なるなど細かい部分での不自然さはあるが、その分、効果はとても大きい。

 逆にもっともコンサバティブなのは三洋のLP-Z3。絞りの変化で絵の傾向が変化するのを嫌い、ランプ光量のみの変化でコントラスト比を大きくしている。静音重視のリアクトモード2では、光量変化が70〜90%の間でしか変化しないためコントラスト拡大効果は比較的薄いが、その動作を意識させる事はほとんどなく非常に自然な動作となる。

 両者の中間に位置するのが松下TH-AE700で、動的なアイリス制御は行うものの、その変化はさほど大きくなく、ランプ光量制御と組み合わせてコントラスト比を拡大している。その効果は2000:1というスペックを見ても解るとおり控えめだが、その分、動的な制御を感じさせない自然さがある。

 もっとも、動的な光量制御を行っていないエプソンの「EMP-TW200H」、あるいは日立の「PJ-TX100J」の画質が劣っているかと言えば、こちらは動的制御を行わないが故の自然な絵作りが期待できる。EMP-TW200Hは若干、コントラストの低さを感じるものの、エプソンシネマフィルターの効果かグレーバランスが良く、赤や緑がキレイに出る点が魅力。一方のPJ-TX100Jはデフォルトのプリセットモードこそ今ひとつだが、キレの良いレンズと豊富なマニュアル調整により、調整を追い込むことで画質を高めることが可能だ。

■日立製作所「PJ-TX100J」
“レンズの力”を感じるクリアな画質――プロジェクター「PJ-TX100J」
日立製作所のホームプロジェクター「PJ-TX100J」は、“御三家”モデルチェンジの合間に登場したD4 720pパネル採用機。優れたレンズ性能は同クラス製品に無いもので、コントラストや色バランスも良好。開発者のこだわりを感じる1台だ。

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