LifeStyleでは年末に向けて、比較的購入しやすい20万〜30万円台の価格帯を中心に家庭向けプロジェクターのレビュー記事を掲載してきた。
今回は、どの機種にしようかまだ決めかねている読者に向けて、売れ筋の3機種を集め直して比較インプレッションをお届けする。同じ時期に集められなかった機種も含め、これまでのレビュー機のそれぞれの特徴をおさらいしながら話を進めたい。
現在の売れ筋として今回再び取り上げるのは、松下電器産業「TH-AE700」、三洋電機「LP-Z3」、エプソン「EMP-TW200H」の3機種。いずれも20万円以下での入手も可能な720p解像度のエプソンD4パネル採用機である。
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家庭向けプロジェクターに興味を持ち始め、画質を基準に情報を集めていると「透過型液晶パネルのプロジェクターはコントラストが低く、黒浮きが目立つ」という評判に必ずぶち当たるはずだ。加えて液晶は、光学回路に用いる有機偏光膜が劣化するため使用するほどにカラーバランスが崩れ、寿命は存外に短いという評判を見つけるだろう。
こうした評価は“おおむね”製品の傾向を示しているが、今回取り上げる3機種に関してはこれらの欠点は大幅に改善されている。特にコントラストに関しては、ギミックなしに1000:1程度のコントラスト比を表現できる実力があれば、絵作り次第で十分な立体感を出せる。
ひとくちにコントラストといっても、明るい部分と隣り合うグレーは黒く見えるが、周囲が黒の絵の中にそれと同じグレーがあると白っぽく見える。周囲の輝度との対比で明るさを感じているため、同一画面中の輝度変化によって感じる明るさは異なるのだ。
従ってAE700のダイナミックアイリスやZ3のリアクトモード、今回は比較しなかったがソニーの「VPL-HS50」が採用しているような、シーンごとに光源の明るさや絞り量の変化させる技術は、透過型液晶のコントラスト比の小ささをかなりカバーしてくれる。
こうしたコントラスト拡張の技術について、よく“真っ暗なシーンで光量を絞っても、夜空に稲妻が走る場合などには、そのまぶしさを表現できないのでは”といった意見を聞く。しかし、実際には真っ暗な中で一部だけ明るいピクセルがあると、周囲との対比で(光量が絞られていても)稲妻はきちんと眩しい光として認識される。
2000:1とか6000:1といったスペック上の数字はともかくとして、光量調整で見かけ上のコントラストを拡張する機能は、決してスペック向上のためのギミックではなく、きちんと効果があるものなのだ。同一画面内のコントラスト比は800:1〜1000:1程度でも十分だと思われる。
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