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電力を“自給自足”できる電脳ジャンパーを試着してみたレビュー(2/2 ページ)

» 2004年12月24日 10時02分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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発電して、給電してみる

 それでは、実際に発電してみよう。「発電」と言ってもそう大げさなものではない。このジャンパーを着て太陽の下を歩き回ればいいだけだ。発電が行われるとバッテリーパックの「Charging」ランプが点灯し、充電が完了すると「Charged」ランプが点灯する。

photo 高層ビル街で発電中

 あいにく実験時には晴天に恵まれなかったが、製造元であるSCOTTeVESTの説明によると、晴天時ならば2〜3時間で充電が完了するそうだ。結構曇っていても発電できるのだが、曇り具合に応じて、充電完了までにそれなりの時間がかかることは覚悟しなくてはならない。試してみたところ、下の写真のような曇り空でも充電可能なことを確認できた。

photo この曇り空でも元気に発電中

 ある程度バッテリーパックの充電が進めば、充電完了を待たずとも他のデバイスへの給電が行える。バッテリーパックの出力は5ボルト、容量は750mAhなので、USBバスパワー対応となっているデバイスにはほぼ問題なく給電できるはずだ。デバイスに付属するUSBケーブルのほか、充電したいデバイスにあわせたケーブル(イーレッツの充電一直線など)を用意しておけば、より活用範囲が広がる。

photo 自分の携帯するデバイスにあわせたケーブルを用意すれば安心

 手元に転がっていたデバイスのうち、iPod Miniと携帯電話(NTTドコモ P900i)がUSB充電に対応していたので、それぞれにあわせたケーブルで接続してみたところ、いずれも給電可能なことが確認できた。ただし、iPod Miniに関しては、USBバスパワーの規格上限ギリギリの電力を要求するようで、充電時間が短いバッテリーパックからの給電を行うことはできなかった。

 この製品、ややもするとイロモノとして見られがちだが、太陽さえあれば、スキーやキャンプ、ハイキングなどコンセントがない環境下での不意な電池切れにも対応できるため、場面によってはかなり重宝しそうだ。これからの時期、スキー場へ携帯電話を持ち出すという場面もあるはずだが、気温の低いゲレンデではバッテリーの消耗が早く、いざ連絡を取りたい時にはバッテリーゼロなんてこともありうる。そうした事態に対応できるのがこのジャンパーのメリットだ。

 苦言を呈するとすれば、太陽電池の発電効率だ。曇天でもチャージ可能だとはいえ、実験した曇天の環境下では5時間以上表にいてもバッテリーパックへの充電が完了しなかった(ちなみに、蛍光灯や白熱灯でも充電できるが、一晩かかっても充電は完了しなかった)。また、給電できるのがUSBバスパワーで動作するデバイスのみというのも残念なところだ。

 しかし、そうした点を差し引いても、“自家発電”できることのメリットは大きい。効率化が進み、ノートPCへの給電すらも可能になれば、「太陽で充電」という方法がよりメジャーになるかもしない。太陽電池の高効率化にとりくんでいるメーカーは多いだけに、より高出力のパネルを搭載した第2弾に期待したいところだ。

photo 来年初頭には全米デビュー(International CESの取材)も決定した“IT戦士” O記者にソーラー電脳ジャンパーを着せてみる。手にしているにはUSB扇風機で、もちろん、このジャンパーで生み出した電力で動かせる。って、蛍光灯で充電したら“ソーラー”電脳ジャンパーの意味がない……。
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