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お父さんのための「食器洗い乾燥機」入門年越し企画(3/5 ページ)

» 2004年12月29日 05時43分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 現在、販売されている食洗機は、いずれも日本電機工業会(JEMA)が策定した「洗浄率65%以上」という条件を満たしている。いわば基本性能は保証されていることになり、まずは安心していい。ただし、頑固な汚れや、口紅などの特殊な汚れに対するアプローチは各社それぞれ。とくに2003年から2004年にかけての製品では、この洗浄力競争が激しくなっている。

 たとえばTOTOの「EUD500」は、「ボールスピンノズル」と呼ばれる独自のノズルを搭載している。これは、ノズルの内側に、まるでラムネ瓶のようにボールが入っていて、噴射口を半ば塞ぐことで水流を“絞り込む”仕組み。出口が狭くなると、水の量が少なくても水圧が高くなるというわけだ。さらに、ボールはノズルの中で“ぐるぐる”回るため、水の指向性が変化して食器にまんべんなく水流が当たるという。

 一方、東芝の「DWS-60X6」、シャープ「QW-SV1」、三洋「DW-SX4000」などは、洗浄前に高温の蒸気をあて、汚れをふやかす“スチーム機能”を搭載。乾燥して“カピカピ”になったご飯粒なども落としやすくなるという。「とくに東芝製品は、食器カゴの下までダクトが伸びていて、茶碗の内側に直接スチームを当てることができます」(ビックカメラの矢澤氏)。

photo 内壁にあるスチームの出口

 スチームよりも一歩踏み込んだのが松下電器産業だ。同社の「NP-60SS5」は、超音波発生ユニットで高濃度の洗剤を噴霧し、しつこい汚れを浮かして落とす「汚れはがしミスト」を搭載した。「乾燥したデンプン質はもとより、手洗いでも落ちにくい口紅や茶渋の汚れにも有効」(同社)だという。

photo 超音波振動を利用したミスト発生装置。通常使用時の約30倍という高濃度の洗剤成分からなるミストを庫内に充満させる

問2:節水&省エネってホント?

 食器カゴを入れて蓋を閉めると、食器洗い乾燥機は「洗い」「すすぎ」「乾燥」という、全自動洗濯機と同じような行程で食器を洗う。ポイントは、やはり洗濯機と同様に水を“循環”させていること。同じ水を繰り返し噴射するため、手洗いに比べて節水できるのは道理だ。

 各社の2004年モデルをみると、1回の洗浄で使う水の量はおおむね11リットルとなっている。これは、手洗いした場合の14分の1にあたり、年間8万3000円程度のコストダウンに繋がるという。「そんなの、洗い方や食器によって違うだろ」という疑問はもっともだが、手洗いの方法にも基準が存在するから、実使用上の違いはともかく、指標としての妥当性はある。

 さらにエコロジーで経済的な使いかたが“まとめ洗い”だ。現在の卓上用食洗機は、ほとんどが「約6人分/60点」前後の食器を洗浄可能だが、たとえば夫婦2人の場合なら、1日分の食器を一度の運転で済ますことができる。「ユーザー調査で“一日に何回、食洗機を動かすか”と訪ねたところ、やはり“まとめて1〜2回”という回答が多かった」(日立H&Lの前川氏)という。

 なお、TOTO、松下、三洋、シャープなどの製品は、片側のノズルだけを使うといった方法で、少ない食器点数でも節水しながら洗浄できる“容量切り換え機能”を搭載している。ただし、容量切り換えモードを使って全容量の半分にあたる3人分の食器を洗った場合でも、水量や電気代が半減することはない。「“まとめ洗い”のほうが効率がいい」というのは、各メーカーと販売店の一致した意見だ。

 省エネという点では、「予約機能」にも注目したい。深夜など電気料金が安い時間帯に給湯&運転できるうえ、寝てしまえば動作音も気にならない。予約タイマーは、松下、日立H&L、東芝製品の一部(最後のページを参照)が搭載している。

 一方、ユニークな“塩洗浄”を提案しているのがシャープだ。こちらは、独自のイオン交換システムで水道水と塩から硬水と軟水を作り出し、硬水の水流で汚れを落とすというもの。洗った後は、水滴後が付きにくい軟水ですすぐため、洗剤が不要で、すすぎに使う水も削減できるという。2代目となる「QW-SV1」では、光センサーを装備し、洗浄水の汚れ具合を見張りながら、水の量を3段階で調整する機能も。軽い汚れの場合なら、わずか8リットルの水で洗浄が完了するという。

photo シャープ「QW-SV1」
photo 塩を入れるトレイ

問3:わが家のキッチンに設置できるのか?

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