コンシューマ製品が一堂に会する(会場は数箇所に分散されているが)International CESが今年も米国ラスベガスで開催中だ。
本来はホームエレクトロニクスやオーディオ・ビジュアル機器が中心だが、最近では時流に乗り、デジタル関連製品が主役になってきた。実際、各種メディアでのレポート記事も、以前はオーディオ・ビジュアル専門誌で見られるくらいだったのが、現在ではむしろIT関連のメディアで、大々的に報じられている。
一方で、幕を上げたばかりの2005年には、ホームシアターが広く普及してほしいという期待を抱いている。もちろん、そんなことは、もう何年も喧伝されている話だが、「今年こそ」はと思わせる材料も揃った。ソフト面では、すでにレンタル業界においてもDVDが主役となったし、デジタル放送拡大によるハイビジョンコンテンツの増加、さらに、近いうちにハイビジョンDVDも登場するだろう。
ハード面では、昨年のオリンピック開催での薄型テレビの売上増、十分な性能を備えたプロジェクターやサラウンドシステムの低価格化が挙げられる。短絡的な見方過ぎるかもしれないが、「紙スクリーン」も新たなユーザーの興味をひく一助になるかもしれない。
やや強引な流れだが、ここでは過去のCESにおけるトピックをなぞりながら、ホームシアター入門を志す人のために、関連情報のおさらいをしてみたいと思う。
ホームシアター文化の歴史は古く、プロジェクター(かつては小型ブラウン管をR/G/Bの光源として利用する、いわゆる三管式が主流だった)による大画面投射に加え、マルチスピーカーでのサラウンド再生もずいぶん昔から行われていた。筆者がホームシアターの真似事を始めた頃(12年ほど前)には、すでにドルビーサラウンドが利用できたのだ。
ドルビーサラウンドは、ドルビーが映画館向けに展開していた音響方式を家庭用に転換したもので、マトリックス処理を利用することで、4チャンネル音声を従来の2ch音声として記録している。つまり、ドルビーサラウンドでつくられた音声は、そのまま通常のステレオでも聴けるし、ドルビープロロジックデコーダを通せば、前方L/Rチャンネルに加えて、センター、および、リアの4本のスピーカーから個別の音が出力可能だ。
その家庭用サラウンド音声に革命を起こしたのが、1995年のCESでデモンストレーションされた「ドルビーAC-3」である。すでに一部では存在は知られていたが、実際に耳にするのは初めてという人がほとんどだったため、大きな話題となった。従来のアナログ方式のサラウンドとは異なり、完全に分離され、リアもステレオ化された5チャンネル、および、低音成分(0.1チャンネル)で構成された「家庭用5.1チャンネル・デジタルサラウンド」の誕生である。
のちにドルビーデジタルとしてDVDにも採用されたが、当時のホームシアター用ソフトはレーザーディスクが主流。いわゆる「あとづけ」となったが、幸いにもレーザーディスクはアナログ2ch音声とデジタル2ch音声が記録可能で、すでに利用されなくなりつつあったアナログ音声の右チャンネルに、デジタル符号化したAC-3信号を記録することで乗り切ったのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR