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「目でストレスを測る機械」でストレスを測ってきた(2/3 ページ)

» 2005年01月18日 23時54分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 実際に試してみよう。被験者は、毎日の締め切りと不規則な生活でストレス漬けになっているはずのIT戦士(♂)。実験には申し分ない素材といえる。

 ストレスメーターは、眼科検診用器具とパソコンが融合したような形をしていた。実際、中身も見た目の通りで、虹彩撮影用の赤外線CCDカメラとモニター、Windowsベースのパソコンを一体化したものだという。

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photo CPUはCeleron/850MHz

 覗き込むと、両目の前でフラッシュが点灯し、瞳孔反射を撮影したたことが分かる。眼が疲れないよう、30秒の休憩を挟んで、これを3回繰り返す。撮影が終わると、結果はすぐに出た。所要時間は、説明の通り、撮影を含めて3分程度だ。

photo 測定結果の画面。下の黄色いバーが「ストレスレベル」表示だ。このほか、「精神・情動面の傾向」などを含む測定結果がプリントアウトされる

 気になるストレス度は、スケールの半分程度だった。多少拍子抜け気味だが、赤い部分に達していないということは、安心していい――のか?

 説明員に尋ねると、「われわれは診断できないんです。見て判断してください」とのお答え。別に冷たくあしらっているわけではなく、被験者に対する“診断”は、あくまで医者の領分なのだ。なかなか面倒くさい業界らしい。

 さて、人事部も注目の「精神・情動面の傾向」は、どんなふうに書かれているのだろう。

 「思考の抽象的・論理的要素が象徴的要素に優先する。分析的作業を好む。統合的な作業はほとんど行わない。不合理に対する感受性が豊か。空想や直感は信頼しない」。

 統合的な作業という意味がよく分からないが、大筋では当たっている、と自己分析。しかし、ストレスメーター1の分析はまだ続く。

 「単一の対象に対し注意を集中する能力が抗進しているが、複数の対象へ同時に注意を振り分けることは困難」。

 シングルタスクという意味か。残念だが、これも当たりだ。

 「会話は論理的で非常に筋道だってはいるが、抑揚や象徴性、表現の豊かさには欠ける」。

 ……悪かったよ。

 ストレスメーター1の容赦ない分析はまだ続くが、ここでは割愛させていただく。とりあえず、設問回答式の調査では表に出にくい部分まで網羅されていることは分かった。

 少し捕捉しておくと、ストレスメーター1を含むアイリテックの虹彩システムは、基本的に米国のIritechが開発したものをローカライズしたものだ。このため今回のように「まだ直訳のレベル」(同社)で、ちょっと日本語が不自由なものもある。ただし、この辺りは顧客企業の要望によって作り込むことができるという。

虹彩を撮影するプリクラ

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