シャープは同社の開発した電子書籍フォーマット「XMDF」についての説明会を開催、「今年こそは電子書籍に関する事業を確立したい」と意欲を見せた。
同社はPDA「Zaurus」や液晶テレビ「AQUOS」、携帯電話、電子辞書、FaxなどにXMDFビューワを組み込んだ機種を投入しているほか、他社へも関連技術の提供を行っている。auの携帯電話「W21S」もそのひとつで、ソニーエリクソン製ながらもXMDFのドキュメントを閲覧できる。
「XMDF閲覧ソフトを搭載した各種の端末は出荷累積1000万台を突破する見込みで、2006年には2000万台を超えるだろう」(同社 技術本部 デバイス技術研究所 第五研究室室長 北村義弘氏)
北村氏はXMDFのメリットを「PCや携帯電話、TV、PDAなどさまざまな端末で読むことができるワンソース・マルチユースタイプのフォーマットであること」と説明する。一般のユーザを対象にした、PCのドキュメント(WordやPDF)などをXMDFへ変換するソフトも開発中であり、PDFにかわるオフィスドキュメントとしての浸透も計画していることを明らかにした。
同社製携帯電話「SH901iC」にはXMDF形式によるマニュアルが内蔵されていることもあり、今後は、携帯電話のみならず液晶テレビなどへもXMDF形式によるマニュアルを内蔵することも検討していく。
XMDF自体の高機能化を進めていくことも明らかにされた。現在でもインデント(字下げ)やルビ、画像回り込みなど多くの日本語表現機能をサポートしており、画像や動画を埋め込むことも可能だが、加えて数式や年表などを表示できるように機能を強化し、履歴管理機能や書き込み機能などを組み込むことによって、e-ラーニング市場への浸透も狙う。
「書籍やマニュアル、コミック、e-ラーニングなどさまざまな分野で利用できる下地が整いつつある。今年こそは電子書籍に関連したビジネスが、事業として確立するタイミングではないかと考えている」(同社)
同社では「現在、電子書籍のマーケットは10億円程度だが、2010年には1000億を上回る市場になる」という。しかし、その中でXMDFというフォーマットがどれだけ普及するかは未知数だ。
「XMDFの推進フォーラムのようなものを立ち上げることは考えていない」というが、同社自身がビジネスやe-ラーニングといった分野にまで電子書籍フォーマット(XMDF)の活用範囲を広げようとしている以上、コンテンツベンダーや流通/通信各社など異業種とのよりスムーズな意思疎通が求められるだろう。
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