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CES取材で見えてきたデジタルAVの最新トレンド麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(3/4 ページ)

» 2005年01月31日 19時01分 公開
[西坂真人,ITmedia]

――昨年からの“大画面化”の流れは、今年も続きそうですね。

麻倉氏 : 大画面化では、CEAが面白い統計を発表してます。昨年末のクリスマスの調査で、欲しいものの1位に“プラズマテレビ”が登場したのです。“大画面テレビ”ではなく“プラズマ”という名前を挙げている点が興味深いですね。このプラズマテレビの市場で大きくシェアを伸ばしているのが松下電器なのです。松下の米国法人Panasonic North America社長兼最高執行責任者の河野優氏によると、昨年夏の時点ではプラズマシェアが10数%だったのが、昨年末のクリスマスシーズンには30%と倍増したとのこと。“プラズマカンパニー”を掲げてユーザーに売る施策を徹底して考え始めたからでしょう。

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――大画面では、日本でも昨年から話題になっているリアプロTVが今年も気になりますね。

麻倉氏 : リアプロTVは今年のCES会場でも目立ちましたが、昨年との違いは“大画面が安い”から“画質もいい”に変化しているところですね。さまざまなブースでリアプロTVの高画質さをアピールするデモンストレーションが行われていました。Texas Insturuments(TI)が作るDLPの普及を国策とする米国ではリアプロTVもDLPが有利だったのですが、LCD陣営も前述の3LCD Groupを結成して巻き返しを図ってきました。

 ここにきて競争が激しくなったのは、今後大きな市場が見込まれるHDTVでなんとしても主導権を握りたいためです。CESでLCD陣営はフルHD対応の0.9インチD5パネル搭載リアプロTVを参考出展してきましたし、対するDLP陣営もSmooth Pictureという新技術でフルHD対応を大々的にアピールしてきました。フルHDという流れは、HDTV時代の大きなトレンドになるでしょう。

――日本でリアプロTVはどう展開していくのでしょうか。

麻倉氏 : 日本では、ソニーのSXRDやビクターのD-ILAなどLCOS系デバイスを使ったフルHD対応リアプロTVが今年前半に登場するでしょう。そして今年の後半には、エプソンのD5パネルを使ったフルHD対応リアプロTVがエプソンを含めて数社から登場してくると思われます。“リアプロTVは日本市場に向かない”といわれている中、フルHDという切り口で日本でのリアプロTVの存在感を高めていくのではないでしょうか。

 特にソニーのSXRDリアプロジェクターは、画質が抜群にいい。リアプロジェクターだからというエクスキューズがなく、むしろリアプロジェクターだから良いという新しいストーリーがつくれそうです。そんな刮目の製品が出て、初めて日本の市場が開拓されていくと思います。

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