昨年前半に行った一連の次世代光ディスク連載に続き、今年も1月の「2005 International CES」や、その後のハリウッド取材などで得た情報を順次掲載する連載を始めることにしたい。
とはいうものの、技術的な論争は既に尽きているといっても過言ではない。2004年前半、アドバンストコーデックの採用やディスク複製技術のお披露目など、さまざまな動きがあった次世代光ディスク関連情勢だが、昨年も終盤になってからは非常に落ち着いている。
昨年後半に集まったニュースの多くは、単に前半の激しい動きが徐々に表面化したに過ぎない。時間は流れ、すでに技術的な優位性のアピールのフェーズは過ぎ、関連各社は具体的な事業の計画を練る段階に入っているともいえる。
そこで第1回目は、CESでHD DVDの事業計画を発表した東芝の執行役上席常務でデジタルメディアネットワーク社長の藤井美英氏に、同社がHD DVDにこだわる理由を主に事業ビジョンの面から話して頂いた。
CESにおけるHD DVDプロモーショングループの発表以来、本誌では繰り返しスケジュールの厳しさについて触れてきた(関連記事)。著作権保護技術のAACS、コーデックのVC-1など不確定要素が多い中、本当に製品化が可能なのか? との声は、今でも大きい。藤井氏にも再度、同じ点を確認してみた。
──HD DVDプレーヤーの発売は、本当に年末にあるのでしょうか?
「レーザーダイオード、デコーダIC、ファームウェアなど、現時点での予定ならば絶対に間に合います。不安要因があるとすれば、それはAACSでしょう。われわれは著作権保護に関して、AACSで決まった仕様をすべて製品に実装する、実装できない段階では発売をしない、と映画スタジオなどコンテンツベンダーに約束していますから、この点だけは守らなければなりません」。
──AACSのガイドライン、そのうちの家電向けガイドラインが、どの時点で収束すれば、年末の事業開始となるのでしょうか。そのデッドラインは?
「現在、AACSの家電向けガイドラインは、3月にまとまる方向で話が進んでいると聞いています。遅れたとしても、少なくとも4月には決まらなければ商品化は行えませんから、年内発売は延期になります。しかし、それ以外の要素での遅れは考えていません。われわれはグループを挙げて、総力戦でHD DVDの商品化に取り組み、経営資源も集中させています」。
──1月の時点では、録画機も年内発売を目標にしていると話していましたが、これも可能なのですか? 録画機は再生専用機に比べ、ハードウェアはもちろん、ソフトウェアもより複雑になりますが……。
「正直にいえば、開発リソースの点で厳しいのは確かです。われわれが最優先しているのは再生専用機の発売で、スケジュールが苦しいようならば、録画機発売は1四半期遅らせてもいいと考えています」。
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