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“羊の皮をかぶった狼”っぽいDVカメラ――キヤノン「FV M30 KIT」レビュー:ビデオカメラ特集(1/4 ページ)

» 2005年02月10日 17時56分 公開
[浅井研二,ITmedia]

 新学期はまだ少し先だが、ビデオカメラの季節は一足早く到来したようだ。各社とも、2〜3月に投入するデジタルビデオ(DV)カメラ新製品を発表してきた。“一生に一度しか撮れない”映像を、なるべく美しく捉えるためには、いまから心の準備が必要なようだ。今回のレビュー特集では、各社のDVカメラ、そして、DVDカメラ新製品を取り上げる。まずは先日発表されたばかりのキヤノン「FV M30 KIT」を紹介しよう。

 キヤノンは同社初のDVカメラ「MV-1」をリリースする際、すでにカメラメーカーとしての姿勢を強く打ち出していた。レンズユニットへのこだわりはもちろん、原色(RGB)フィルター/プログレッシブスキャン方式のCCDを採用。これにより、(当時としては)美しい静止画を実現し、動画はむしろその連なりにすぎないとでも主張しているようだった。一般的なシューティングタイプでも縦型でもないボディ形状は、むしろ一眼レフカメラに近い独自のスタイルだった。

 現在、キヤノン製DVカメラのラインナップには、シューティングタイプの「FV」シリーズ、縦型の「IXY DV」シリーズ、そして、プロフェッショナル向け3CCDモデル「XL/XV」シリーズが並ぶ。最新機種となる今回の「FV M30 KIT」は、場面に応じた最適な撮影モードを、ダイアルを回すだけで簡単に選べる“カンタンモードダイアル”など、使いやすさも売りだが、熟練ユーザーの心をくすぐる、こだわりの機能も各種搭載されている。幅広い層に対応できるDVカメラといっていいだろう。

photo 本体の凹凸が最小限に抑えられているので、扱いやすく、しかも見た目にも落ち着いた印象のキヤノン「FV M30」

 CCDは前モデルの「FV M20」と同じく、1/3.4インチで総画素数は約220万画素。もちろん、RGB原色フィルター方式を採用、さらに、信号はキヤノン独自の映像エンジン「DIGIC DV」で動画・静止画ともに最適な処理がされる。有効画素数はテープ撮影時が約123万画素、カード静止画撮影時で約200万画素(最大1632×1224ピクセル)だ。

 光学14倍ズームレンズ搭載も「FV M20」と同様だが、今回は新たに光学式手ぶれ補正を追加。それでいて、本体は幅70×高さ82×奥行き133ミリ、質量約530グラム(撮影時約590グラム)と、「FV M20」よりも重量・体積ともに10%抑えられている。手ぶれ補正機構は、レンズ鏡筒内に補正光学系を内蔵させたシフト式だ。

photo 本体上部手前には、W-T(ズーム)レバーやフォトボタンが配置されている。ズームレバーは小さく動かせばゆっくり、大きく動かせば速くズーム動作する。T端からW端へは最短で1.5秒ほど

 通常撮影時はもちろん、特に望遠撮影時には抑えようとしてもどうしても一定レベルの手ぶれが生じるもの。三脚を使えば問題ないが、ご存じのとおり、どんな場面でもというわけにはいかない。また、光学式手ぶれ補正であれば、電子式のように画質劣化を気にしなくてもよく、しかも、静止画撮影時にも利用できる。そういう意味で、これでようやく光学14倍という高倍率ズームを、存分に生かせるようになったといえるだろう。

 もちろん、激しいパンや手ぶれでは、当然ながらどうしてもカクカクとした挙動がつきまとってしまったが、そうした性急な動きさえ抑えるように意識すれば、自然かつブレの少ない撮影を行えた。

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