ホームシアターを構築すると、必ずといっていいほどの人がハイビジョン放送にそれまで以上に興味を持つようになる。大画面を得たことでテレビ放送(地上アナログ)やDVDの画質に不満を感じ始めるためだ。小さな画面では目立たなかった解像度の低さも、100インチクラスのスクリーン上ではその粗さがだんだん我慢できなくなる。
ここでは基本中の基本、「ハイビジョン放送でどのような映像を見ることができるのか」、「ハイビジョン放送を録画して好きな時に楽しむにはどのような機器が必要なのか」をまとめることにしよう。
レンタルでもセルでも、すっかり主役となっているDVD。ではそのDVDはどの程度の情報量を持っているのか。
日本で販売されているNTSC仕様のDVDは、NTSCの有効走査線本数480本に合わせ、1フレーム720×480ピクセルのインターレスで収められている。この映像をそのまま100インチクラスの大画面に映しているのだから、やや解像感が不足するのもやむを得ないところだろう。これに対してハイビジョンは1920×1080ピクセル、もしくは1440×1080ピクセルのインターレス。情報量の違いは圧倒的だ。
もちろん、実際の画質となると解像度だけで測れるものではない。DVDの映像は専門の技術者がシーンごとに最適なパラメータを与えながら圧縮を行うため、歪みが目立たないように押さえ込まれている。しかし、放送で流れる映像はすべからくリアルタイムでモニターする必要があるため、リアルタイム圧縮となる。
この差は、たとえばスポーツ放送などで顕著で、動きの激しい部分に大量のブロックノイズが出たり、複雑なテクスチャーの部分に強い歪み感を感じることがある。気にしていなければ、通常のテレビサイズならばさほど気にならないかも知れないが、大画面で見るとノイズも大きく見えるため一目瞭然でアラが見える。
ただし、そうしたアラも解像度が低い映像の中で起こっている場合と、ハイビジョンの中で起こっているのを比較すると、やはりハイビジョンの方がノイズが細かくなり目立ちにくい。トータルで見ると、やっぱりハイビジョンの方がいい、という結論に達するだろう。
とはいえ、放送コンテンツは一期一会。時間がなくて放送をすべて見ることができない場合、お気に入りのコンテンツを好きな時に何度もみたい場合などは、なんとかして録画をしたいというニーズも出てくる。
問題は本当にそんなに見たいコンテンツがあるの?という点ではないだろうか。おそらく、ハイビジョン録画をしたことがない人にとってみれば、ハイビジョンを録画して大画面で見ることに、なぜそこまでこだわるのかわからない、という人も多いに違いない。
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