米Apple Computerは4月21日、カリフォルニア州クパチーノ本社で年次株主総会を開いた。質疑応答の大半はスムーズに進んだが、環境保護主義者の団体がスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)の怒りを買い、同氏は誤解を正そうとした。同氏はまた、この機会をとらえてMicrosoftの次世代OS「Longhorn」を批判した。
総会でまず行われたのは、現行の取締役の改選などの議題に関する投票だった。フレッド・アンダーソン氏、ウィリアム・キャンベル氏、ミラード・ドレクサー氏、アル・ゴア氏、スティーブ・ジョブズ氏、アーサー・レビンソン氏、ジェローム・ヨーク氏を含む現行の取締役が再選された。
ボーナスプラン、従業員向けストックオプションプランの修正案、社外監査人KPMGの承認に関する投票も行われた。これらは予備投票で株主からのコメントなしで可決されていた。
ある株主からの動議では、上級幹部に業績と期間に基づく制限付き株式付与プログラムを導入するよう求められた。これは予備投票を通過しなかった。
株主総会では環境保護主義者の団体が、Appleのリサイクル方針に関してジョブズ氏を非難した。具体的には、この団体はDellやHPなどのPCメーカーがシステムの無料回収を行っていることを示唆し、不要になったコンピュータをAppleが無料で回収することを要求した。Appleは現在、コンピュータのリサイクルに30米ドルの料金を課している。
「この主張には不正確な点がたくさんある。例えば、DellとHPはタダでリサイクルしているわけではない。HPは40ドルを課しているし、Dellも料金を徴収している。われわれはその中間にいる。Appleは本当に強力な環境方針を施行している」(ジョブズ氏)
同氏は、すべての問題に応えるまで、この団体の批判を1つずつ取り上げた。この団体が提起した問題とジョブズ氏の回答を以下に示す。
「われわれは過去4年間こうしたプログラムを実施してきた。この1年だけで1500トンを超える機器をリサイクルした。この団体はこれをタダで実施するべきだと信じているが、そうしていないのは、われわれだけではなく消費者にも責任があると考えているからだ」
「これは正確ではない。われわれはミネソタ州と電子廃棄プログラムを作成するために協力してきた。同州で回収プログラムを用意するべきだとわれわれは考えている。メイン州では、こうしたプログラムに関与しているエレクトロニクス企業はわれわれだけだった」
「これはまったく事実ではない。われわれはリサイクルプログラムでもそれ以外でも刑務所や強制労働は利用していない」
「われわれがソフト開発でそうした行為を行っているという示唆は前からあった」とジョブズ氏はジョークを飛ばし、聴衆を笑わせた。
「これは本当のことではない。電子廃棄物を海外に送ってはいない。われわれが海外に送っているのは、新しいリサイクルプラスチックを作るための破砕プラスチックだけだ。これはいいことだ」
「それは事実ではない。iPodで使われている鉛の量は少ないし、われわれはこれを排除するべく取り組んでいる。iPodを環境の時限爆弾と呼ぶのは許し難い」
「この意見にはまったく同意できない。ご存じの通り、ほとんどの消費者はバッテリーが消耗したときに捨ててしまう。これは環境によいことではなく、皆が望んでいないことだ。Appleは既にiPodとiPod miniに関してバッテリー回収プログラムを実施している」
「この団体はなぜAppleの環境方針について虚偽の情報を広めているのか」とジョブズ氏は問いかけた。「その理由は分からないが、Appleの知名度を利用して自分たちの名を広めることが目的なのではないかと思う」
ジョブズ氏によると、この団体のリーダーは先月、Kansas City Star紙に「iPodは一番流行しているので、追及の対象として選んだ」と語ったという。
「iPodを選んだのはいいセンスだが、だからといって彼らの間違った主張は真実にはならない」(同氏)
同氏は株主に向けて手をたたき、「ただのナンセンスだ」と語った。
女性取締役がいない理由から、Mac miniの成功、Macプロモーションの内容まで、ジョブズ氏は株主からさまざまな質問を受けた。
Mac OS X「Tiger」のリリースとMicrosoftのWindowsについての質問に対し、ジョブズ氏は言葉少なに答えた。
「Microsoftは臆面もなくわれわれのまねをしようとしている。それを最も物語っているのが、Tigerが今月末に出荷され、Longhornが登場までにまだ2年あるということだ。彼らはすぐにまねすることもできないのだ」とジョブズ氏は喝采する聴衆に向けて語った。
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