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「今は足場固めの時期」――「OnGen」が目指す音楽配信のカタチ(前編)インタビュー(2/2 ページ)

» 2005年04月27日 01時40分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 「配信可能な曲数を増やしていくことは当然ですが、楽曲を棚に並べて“さぁどうぞ、好きな曲を選んでください”というよりも、音楽というコンテンツを“どう楽しく見せるか”に力を注ぎたいのです。OnGenのキャッチフレーズは『24時間音楽生活』ですが、これは24時間いつでも購入できるというだけではなく、“24時間いつでも音楽を楽しめる”ということなんです。そのために、個別にアーティストをピックアップする特集企画や有線チャートに基づいたランキングなど、見せ方を工夫しています」

photo 企画ページの1例。「アンダーグラフ」のページにはディスコグラフィやアーティスト本人からコメントのほか、着うたをダウンロードできるQRコードなども表示されている

 「現段階では、対象ユーザーにしても“音楽全体が好きな人”として、あえて年齢や性別を分けることなく考えています。例えるならば、音楽雑誌を買うような人です。だからこそ、企画を充実させ、来て楽しい・見て楽しいというサイトとなるよう努力しています」

携帯も視野に入れるが、まずは足場固め

 下浦氏の考え方は「とにかく商品(音楽)を購入してもらう」というよりも、「音楽について何か楽しいコトがあるサイトを作る」というもので、販売サイトというよりもコンテンツサイトの考え方に近い。

 「音楽配信サービスの認知度は確かに向上していますが、まだメジャーなものであるとはいえないと思います。今は音楽配信サービス自体がどういったものなのか、認識してもらう段階ではないでしょうか。ですから、まずは私たちが紹介する音楽というコンテンツの魅力を高め、それを購買に結びつけたいと考えているのです」

 だが、「ネットで購入できる音楽コンテンツ」としては携帯電話の着信メロディや着うた・着うたフルが既に一定以上の成果を収めている。また、auの携帯電話「W31S」やNTTドコモの「Music PORTER」のように、携帯電話とポータブルオーディオの融合を進めた製品も登場している。

 「基本的には、携帯電話向けサービスと我々のサービスとは食い合うものではないと思っています。着うたフルならばフルコーラスの楽曲が楽しめますが、今はまだ携帯電話以外の場所、例えば自宅の部屋で聞くことはできませんし、サービスとして提供できる付加価値も異なります」

 とはいえ、ポータブルオーディオとしての性格を持った携帯電話には同社も注目しているという。

 「外出先へ音楽を持ち出す、という楽しみ方については以前から注目していますから、携帯電話を利用してそうした楽しみ方ができるようならば、当然そこへの配信も視野に入れることになります」

 ただし、下浦氏は「ユーザーから寄せられる要望にひとつひとつ応えていくことが第一のミッションです」と提供形態の拡大は必ずしも急務ではなく、現在は足場固めの段階であることを強調する。

 「“最新ヒット曲が少ない”“欲しい曲がない”といったものから、“iPodに転送したい”といったものまで、寄せられる要望はさまざまです。私はユーザーサポートに寄せられたメールのすべてに目を通しているのですが、最近は初めて音楽配信サービスを利用するユーザーからの質問が増えているのです。利用者層の拡大を実感する瞬間ですが、それだけに寄せられる要望にひとつひとつ応えていくことが重要になると思います」

 (後編に続く)

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