さて、RR-US050のカタログを眺めていると気になるのが「音声→テキスト変換」の「Dictation」機能。RR-US050で録音した音声データをテキストデータに自動変換してくれるものだ。
しかし、この「Dication」機能は、基本的に発音者の声を学習させる必要があるタイプ。既定のプロファイルも準備されてはいるものの、これを使用した場合の変換結果はあまり実用的ではない。筆者以外にも数人にメモ録を行ってもらい、既定のプロファイルで音声→テキスト変換を行ってみたが、原文からは程遠い結果になった。
会議やインタビューなど、数人分の音声を録音した場合も、まず役に立たないと思っていい。発音者全員のプロファイルを準備するなど事実上不可能だろうし、そもそも複数のプロファイルを利用して変換することもできない。自分でちょっとメモ録したものをテキスト化、という程度なら使えるだろうが、よほどキーボードが苦手な人でない限り、録音したものを再生しながら文字入力したほうが早いだろう。
逆の変換となる「テキスト→音声」は実用性がありそうだ。たとえば、ノートPCもPDAも持ち歩かない人であれば、メールやWebページの文字情報を音声化して持ち歩くために使える。「ITmedia」を「イットメディア」と発音してしまうなど(いつぞやの首相のようだ……)、英文字の固有名詞ではちょっとおかしな読み方もするが、文章としての意味が分からなくなるような結果にはならないし、学習させることもできる。
RR-US050は、音声録音と再生――つまりICレコーダー本来の機能に特化した製品だ。さらにRR-US050側ではインデックス機能をサポートしておらず、本来の便利さはPC連携で初めて発揮される。また、「便利さ」という点も、汎用フォーマットを採用した製品とは異なる所にある点にも注意したい。
音質は、好き嫌いが分かれる所だろう。可聴帯域全てを綺麗に録音するタイプではなく、単純に音質といってしまうと比較的ビットレートの高い汎用フォーマットを採用した製品の方が良好だと思う。RR-US050は、もっとも高音質なHQモードでも、音楽再生に使う気にはならない。
しかし会話を録音するという目的なら、SPモードでも十分に使える。素のまま聞いてしまうとSPモードはザワザワとしたノイズも多いのだが、イコライザーを有効にすると音声だけがクローズアップされたように聞こえてくる。個人的には、対面インタビュー、比較的狭い部屋の会議などはSPモードで十分だと感じた。
正直いって、製品としての遊び心はゼロだ。ただし、音声録音に用途を絞り、PC連携を前提として使うなら、付属ソフトの存在もあって途端に魅力的になる。ステレオインサイドフォン、USBケーブル、PC連携ソフトまで付属して1万7000円前後という価格も悪くないだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR