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ファミリー向けデジ一眼のスタンダードになるか――ニコン「D50」レビュー(2/4 ページ)

» 2005年06月07日 00時46分 公開
[永山昌克,ITmedia]

ホールド感やボタンの操作感がすこぶるいい

 気持ちよく撮影ができた、というのがD50を使用した正直な感想だ。特にボディのホールド感と各種ボタンの感触のよさが気に入った。厚みのあるグリップは手にぴったりとフィットし、シャッターボタンは指先のちょうどいい位置に当たる。

photo シャッターボタンの回りに電源スイッチがあり、その下に、セルフタイマー/リモコンボタンや露出補正ボタンがある。セルフタイマーの秒数は、2/5/10/20秒から選べる

 右手の親指を少し上にずらすと、コマンドダイヤルで絞りやシャッター速度の変更ができ、下にずらすとマルチセレクターと呼ぶ十字レバーを使って、AFエリアの切り替えやメニューの項目選択などをスムーズに行える。また、背面左側にずらりと並んだ6つのボタンは適度に大きくて押しやすい。

photo メニュー画面は、基本的な項目だけを表示する「シンプルメニュー」と、全項目を表示する「アドバンストメニュー」の2タイプを選べる。またヘルプボタンを押すことで、各項目の説明を表示できる
photo 左上のモードダイヤルでは11の撮影モードを選択でき、背面左側に並んだボタンでは、連写、ISO感度、ホワイトバランス、画質、サムネイル再生、拡大再生などを設定できる。また、連写ボタンとセルフタイマーボタンの2つを同時に約2秒間押すと、各種設定をリセットできる

 こうした操作のフィーリングは、手の大きさによる個人差があるだろう。購入の主要ターゲットであるはずの女性ユーザーにとってどうかは分からないが、少なくとも私の大きな手との相性はとてもいい。D70sやD70を使ったときも、同じく快適に感じたが、D50はボディが小さくなったにもかかわらず、ダイヤルやボタンは若干大きくなり、操作感はいっそうよくなっている。

 逆にD70s/D70よりも劣るのは、コマンドダイヤルの数が2つから1つに減ったため、露出補正やマニュアルモード時の絞り変更の際には、ボタンを併用する必要があること。また、オートブラケットの専用ボタンが省かれ、オートブラケットはメニューからの設定になったことや、液晶パネルのイルミネネーター機能がなくなったので、暗い場所ではパネルが見えにくい点も指摘できる。

photo グリップの前にリモコン受光部、横にAF補助光/セルフタイマーランプを装備。これまでの同社製品と同じくニコンDXフォーマットの撮像素子とニコンFマウントを採用し、同社の豊富な交換レンズを使用できる
photo ファインダーの見え方やファインダー内の情報表示は、D70sとほぼ同じで実用性十分のレベル。5点のAFの測距点はやや少なめだが、切り替えはスムーズに行える
photo カスタムメニューは、D70sの25項目から20項目へと減っている。たとえば、ファインダーの格子線表示機能などが省かれた。ただし、AF-S(シングル)とAF-C(コンティニュアス)を自動で切り替えるAF-Aモードなど増えた機能もある

 連写スピードは、D70sの秒間3コマからD50では秒間2.5コマへとスペックダウンした。スポーツなど動きの速い被写体を撮る場合は、少しでも連写速度が速いほうが有利だが、3コマと2.5コマでは大きな差とはいえない。ただ、オートブラケットのために連写を使う場合には、秒間2.5コマではまだるっこく感じるのが惜しい。

photo ニコン製のデジタル一眼レフ機としては初めてSDメモリーカードを採用。写真のトランセンド製45倍速1Gバイトカードを使った場合、JPEGの最高画質で15コマ程度は速度が低下せずに連写でき、それ以降はスピードが少し落ちるが途切れずに連写できた

 これらの点が気にならなければ、それ以外の操作感は非常にいい。約0.2秒の起動時間、AFスピード、ファインダーの見やすさ、バッテリー持久力などに関しても、ストレスはない。

 2.0型の大画面液晶を採用したこともポイントだ。液晶の画素数は約13万画素とあまり細かくはないが、十分な明るさがあり、屋外での画像チェックに役立った。そして、撮影直後に画像を表示した状態でボディ背面のマルチセレクターの上か下を押すと、ヒストグラムやハイライトの白とび、撮影情報などに即座に表示でき、セレクターの左か右を押すと素早くコマ送りができるのも便利である。

photo 電源には、専用リチウムイオン充電池「EN-EL3」(1400mAh)を使用し、フル充電での公称のバッテリー寿命は約2000コマを誇る。また、容量がやや多い「EN-EL3a」(1500mAh)も使用可能だ

 ハイエンドクラスのD2シリーズのほうが、当然ながら外装の質感や操作感はさらに優れる。だが、ちょろっと外に出掛けて手軽なスナップを楽しむなら、このD50のほうが断然使いやすい。一眼レフ機としてはシャッター音が比較的静かであることも、スナップ用に好適だ。

見栄え重視の鮮やかでクリアな発色傾向

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