1位 iTunes Music Store、SME抜きで8月国内立ち上げの報道
2位 東芝・藤井氏に聞く――次世代DVD統一交渉“決裂”の背景(前編)
4位 いつでも“ベストショット”――デジカメ向けの新技術が登場
5位 東芝・藤井氏に聞く――次世代DVD統一交渉“決裂”の理由(後編)
6位 シャープ、“世界最大”65V型フルHD液晶テレビ発表〜8月発売
7位 Hall 3で「iPod shuffle似」プレーヤーを聴く
9位 iTMS開始報道にレーベル各社、「協議はしているが決定事項はない」
10位 MPEG-4動画も楽しめる“全部入りプレーヤー”「iAUDIO X5」
「もうすぐか?」「また延期か?」――興味を持っている人がまたも振り回された格好になってしまったiTMS日本版開始の報道。今週はiTMSの8月国内開始を報じたニュースが1位となった。
報道の後、アップルコンピュータを始め、楽曲を提供すると報じられたソニー・ミュージックエンタテインメント、東芝EMI、エイベックスなどにコメントを求めたが、その結果は一様にして、「協議をしているのは事実だが、決定事項は無い。話せるような事実はない」といったものだった。
昨年夏には米Appleの副社長を務める前刀禎明氏が、「iTMS日本語版を来年中(2005年度)に提供する予定で、1曲あたりの価格も米国での提供価格(99セント)と同程度になる」とコメントしたという報道もあったが、少なくともこれまでに具体的な開始時期が同社からアナウンスされたことはない。
以前は日本で運用されている音楽配信サービスのDRMがiTMSに比べて厳しいから、日本でのサービス開始が遅れているという観測もあったが、現在では「ポータブルプレーヤーへの転送は3カ所まで」「CD書き込みは10回」といったように規制緩和が進んでおり、一概にDRMだけが原因で、レコード会社とアップルの交渉が難航しているとは思えない。
DRMが問題でないとすれば、問題は何だろうか。原因のひとつが価格であることは間違いないだろう。
低価格化が進んだとはいえ、日本の音楽配信サービスにおける中心価格帯は200円前後で、新曲ならばそれ以上という事もある。iTMSが設定している販売価格は99セント/0.99ユーロ/0.79ポンドであり、それと比べると日本はやや高価だ。アップルとしては、これまでどおり「iTMSで買うならば、すべて低価格な○○円」というアピールをしたいはずで、2ドル近い200円という価格帯で販売するのは、どうしても避けたいのではと推測する。
日本の音楽配信サービスが1曲が210円(税込み)で販売しているとして、金銭的にどのような内訳になっているかは各社ともに公表していない。音楽配信にはサーバー使用料や楽曲のエンコード代などCD販売ならばいらなかった経費も必要だ。内訳が分からない以上、「高いのか、安いのか」は正直分からない。ひょっとすると210円では相当の数を売らないと、赤字になってしまう構造なのかもしれない。
「曲を販売して利益を得る」そうした考えをレコード会社が持つことは、これまでCDというパッケージ商品を販売して利益を上げてきた経緯からすれば当然かもしれないが、ここらで方向転換をしてもらいたい。“損して得取れ”ではないが、楽曲データという無形のものを売るライセンスビジネスに転換した方が、10年20年先をとらえたビジネスとして有効ではないだろうか。
名作映画の廉価販売がDVDビデオという市場を大きく成長させたように、音楽配信サービスも販売して利益を得るというパッケージビジネス的な考えを捨て、iTMSだろうが自社販売サイトだろうが、携帯だろうが、音楽というコンテンツをライセンスするという方向に頭を切り替えることができれば、iTMSもすぐ開始されるに違いない。
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