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“質実剛健”な光学手ブレ補正+高倍率ズーム機「サイバーショットH1」レビュー(1/4 ページ)

» 2005年06月14日 12時25分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 「12倍ズーム+手ブレ補正」市場に、しばらく超望遠系デジカメを投入していなかったソニーがやってきた。今週末(6月17日)に発売予定のサイバーショット「DSC-H1」だ。

 実はソニーが手ブレ補正付デジカメを出すのはこれが初めてではない。1998年にDigital Mavicaシリーズの1つとして、14倍ズームで手ブレ補正付の80万画素デジカメ「MVC-FD91」を発売していたのだ。おそらくこれが最初に手ブレ補正付超望遠デジカメではなかったかと思う。

 わたしが最初に使ったのはその後継機で200万画素の「MVC-FD95」だが、記録メディアはフロッピーディスク(FD)で、FD1枚に画像4〜5枚しか記録できないため、バッグに10枚以上のFDを用意して撮影に行った記憶がある。

 その後、FDとメモリースティック兼用の「MVC-FD97」やCD-Rに記録する「MVC-CD1000」も出たが、Digital Mavicaシリーズ終了(海外では継続販売)とともに手ブレ補正付超望遠デジカメもラインナップから消えていたのだ。

 だから、今回のDSC-H1は「復活の手ブレ補正付高倍率ズーム」なのである。

ちょっと大きめの高倍率ズームデジカメ

 DSC-H1の登場により、松下電器産業の「DMC-FZ5」、コニカミノルタの「DiMAGE Z5」、キヤノンの「PowerShot S2 IS」とあわせて「500万画素+12倍ズーム+手ブレ補正」デジカメが4モデル出そろったわけだが、それぞれ個性的で面白い。

 この中でもっとも重いのはこのDSC-H1。本体重量が約438グラムで、撮影時重量は591グラム(これはソニーの公式な値だが、レンズキャップやレンズフードも含んだ値であり、メディアとバッテリーのみの最小限必要な装備なら500グラムを切る)だ。次に重いPowerShot S2 ISの本体重量が約405グラムだが、こちらの方がバッテリーが重いので、撮影時重量は同じくらいと思っていいだろう。

しっかりしたグリップとずんぐりしたボディを持つ、存在感のある12倍ズーム機

 体感的にはDSC-H1の方が大きく感じる。高さも奥行きも8センチを超えていてずんぐりしているからだ。奥行きが8センチを切っているPowerShot S2 ISに比べると「かさ張り感」があるため、カバンへの収まりはいまひとつよくない。

 でもDSC-H1には他の3機種と比べて大きなアドバンテージが1つある。それが液晶モニターだ。他機種は電子ビューファインダー(EVF)も搭載しなけばならない関係上、どうしてもメイン液晶モニターのサイズが1.8インチや2.0インチにとどまっているが、DSC-H1は2.5インチを搭載してきた。

12倍ズーム+手ブレ補正の王道を行くスペック

 では基本性能からみていこう。

 レンズはDMC-FZ5やPowerShot S2 ISと同じ36〜432ミリ相当の12倍ズームで明るさはF2.8〜3.7の「SONY LENS」。カールツァイスの冠はついてないレンズだ。CCDは1/2.5インチの500万画素である。

レンズはカールツァイスではなくソニーブランドの12倍ズーム。大きなレンズ部には付属のアダプターとレンズフードをつけられる。
レンズがめいっぱい伸びた状態で左側面から。ストロボは手動ポップアップ式だ。ボディは大きめだがその分構えやすい

 撮影距離は標準で50センチ(テレ端では90センチ)、マクロ時はワイド端で2センチまで寄れる。だが、マクロ時でも3倍相当までズームすると、寄れる距離は20センチ強と遠くなり、12倍時は90センチが最短撮影距離のままなので、マクロ撮影が効くのはワイド側だけと思ってよさそうだ。

 手ブレ補正はレンズの一部をシフトする方式。常時補正をかける「常時モード」と撮影時だけ補正がかかる「撮影時モード」をメニューで選択できる。

 本体にはコンバージョンレンズ用のアダプターとレンズフードが付属し、別売りのテレコンバーターを装着するとテレ端で734ミリ相当まで焦点距離を伸ばせる。純正テレコンで734ミリというのはこのクラス最高レベルだ。

 AFはもともとサイバーショットのAFが高速であることもあり、ストレスはほとんど感じない。さらにFOCUSボタンを使ってワイドレンジ、MFの他フレキシブルスポットAFも使える。AF位置を自由に変えられるのは三脚を利用して撮影するとき便利である。

 ISO感度は64〜400。オートでは最高320まで上がる。

ジョグダイヤルと2.5インチ液晶が特徴

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