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半世紀を経て蘇った“ペンシルロケット”(1/2 ページ)

» 2005年08月19日 22時15分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月19日、「ペンシルロケット フェスティバル」を幕張メッセで開催した。国内ロケット開発の“始まり”といわれるペンシルロケット打ち上げから50周年を記念して開催された「50年に一度の大祭典」だ。会場では、半世紀前のペンシルロケット実験を再現したほか、プラネタリウム「メガスター」の上映会やプチロケット大会などが行われ、親子連れなどで賑わった。

photo 幕張メッセの展示ホール1つを使って開催された「ペンシルロケット フェスティバル」
photo 宇宙飛行士のコスプレ……衣装を着て記念撮影するコーナー

 「ペンシルロケット打ち上げ」とは、1955年に東京大学生産技術研究所の故糸川英夫教授が行った小型ロケットの水平発射実験を指す。糸川教授は、長さ数十センチのロケットを作り、“電気標的”と呼ばれる細い針金を貼った紙のスクリーンに向けて水平に発射。電気標的を次々と貫通させ、ロケットが針金(導線)を切る時間差から推進速度の変化などを計測した。

photo 1955年当時のペンシルロケットも展示していた

 再現されたペンシルロケットは全長23センチ。アルミ合金製の機体に鉄製のノーズコーンとノズルを備え、中には推進薬となる8.4グラムの無煙火薬、および点火薬として0.6グラムの黒色火薬を詰めた。燃焼時間はわずか0.15秒だが、最高速度は時速270キロにおよぶという。

 関係者や来場者が遠まきに見守る中(安全のため)、轟音とともにペンシルロケットは発射された。約3メートルのランチャから離れ、10枚の電気標的を次々に貫通し、発泡スチロール製の“キャッチャ”に突き刺ささる。この間、約0.25秒。スタッフが成功したことを告げると、観客が一気に沸いた。

photo 発射直後のペンシルロケット

 JAXAによると、ロケットの設計はもちろん、ランチャーや電気標的などの道具類まで、なるべく当時と同じものを利用したという。ただ、50年前と異なり、今回は最新の高速ビデオカメラ3台を用いて発射の瞬間を撮影した。その様子を連続写真でどうぞ。

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