レビュー
HDMI端子と充実したPC入力が魅力の32型液晶テレビ、アイ・オー「FTV-320H」(4/4 ページ)
では、肝心のテレビとしての画質はどうだろう。内蔵チューナーは地上波アナログのみだが、過大な期待はしない方が良い。全体にベタっとした傾向の画質で、同条件でアンテナケーブルを接続したほかのテレビ機器では見られない“めだかノイズ”も散見され、どうも受信感度が低めのようだ。画質に関しては後述するスケーラーの問題もあるようだが、ビデオ入力した地上波アナログ放送の画質はさほど悪くは感じなかったので、やはり内蔵チューナーには若干課題を感じる。
外部入力の画質に関しては、まずD4入力ではとくに不満は感じなかった。デジタルケーブルテレビチューナー(松下電器製のTH-DCH500)とD端子で接続し、BSデジタルや地上波デジタル放送を視聴してみたが(基本的に画質設定は標準としているプリセットのモード1)、発色はニュートラルで、肌に赤みが掛かるありがちな傾向も見られないし、白にほかの色がかぶる傾向もなかった。動きの激しいシーンでもとくに残像を強く感じることはなく、トータルで水準レベルといった印象だ。
隣に筆者の私物であるビクター「LT-26LC60」を置き、内蔵チューナーで地上波デジタル放送の同じ番組を表示して比較してみたが、発色に関しては良く似た印象を受ける。シーンチェンジなどでは若干本機の方が乱れが大きく感じるものの、この点に関しては本機の問題なのか、デジタルケーブルテレビチューナーのMPEGデコーダーの問題なのか、ちょっと断言しずらい。いずれにせよ画質という点では目立って見劣りする部分はなく、水準の画質を持っているといえる。
反面、D1/D2入力、ビデオ入力などではシャープさに欠ける印象を受けた。内蔵チューナーのアナログ地上波放送の画質が今ひとつなのは、スケーラーの問題もありそうだ。たとえばDVDビデオなら、DVDプレーヤーとD端子で接続してD2入力するより、PCとRGB入力してフルスクリーン再生した方が間違いなく綺麗だ。現実問題としてDVDプレーヤーやレコーダーの出力はD2止まりなので、この部分は難点といえそうだ。
HDMI接続に関しては、HDD+DVDレコーダーの東芝「RD-XS57」でSD品質の映像を、また同社の“AVeL LinkPlayer”「AVLP2/DVDG」をDVI-HDMI変換ケーブル接続にしてWindowsMediaVideoのHDサンプル映像を再生してみた。前者に関しては、D端子接続(D2)よりHDMIの方が全体にシャキっとした印象。これはスケーラーの性能でRD-XS57が勝ったということになるだろう。
後者の場合もD4接続との大きな差は感じなく、HDMI接続が若干シャープかな? という程度で、その差は静止画で凝視してわかる程度。もっとも、後者の傾向は競合製品でも似ている場合が多い。現状においてHDMIに関しては映像と音声を1本のケーブルで接続できる手軽な接続手段か、将来HD映像のパッケージソフトを再生する場合のための保険と思えばいいだろう。今のところ、HDMI入力は必須の機能とはいえないが、HDMI入力を備えたことで安心して購入できるというのもまた事実だ。
PCユーザーには魅力の大きい低価格液晶テレビ
デジタルチューナーレスで価格重視の大型液晶テレビは、大手家電メーカーが積極的には手を出さない代わり、バイ・デザインやユニデンなど新規参入組を中心に徐々に1つの製品ジャンルを築きつつある。本製品は既に通販系のショップでは12万円台の値付けになっているなど、確かに32インチ液晶テレビとしては低価格。しかし競合製品と比較すると、少なくとも発売時点では価格面の大きなアドバンテージを持っているわけではない。
ではなにがアドバンテージか? ということになると、まずはHDMI入力の装備だ。競合製品でHDMI入力を装備するのはユニデン製品のみであり、1つの差別化ポイントになる。価格面では、デジタルチューナー内蔵の家電メーカーの型落ちモデルとも競合する可能性があるが、デジタルケーブルテレビを導入済み、あるいは地上波デジタル放送が開始されるのを見計らってハイビジョン対応レコーダーを組み合せるといった人なら、HDMI入力を優先させる意味もあると思う。来年には次世代DVDによるハイビジョン対応のプレーヤーとパッケージソフトも登場すると思われるが、この時点でHDMIが重要な意味を持つ可能性もある。さらに、PCで次世代DVDで再生する場合にも、テレビにハイビジョン出力するためにはHDMIが必須になる可能性も高い。
RGB入力の許容の広さも大きな武器だろう。PCの利用がメインなら、正直いって通常の液晶ディスプレイをオススメするが、いわゆるリビングPCを自作する場合には間違いなく魅力的だし、家族用にリビングにもPCを置きたいといった場合にも便利に使える。
内蔵チューナーとスケーリングの2点に関しては課題も感じるが、本製品に関しては低価格という魅力が上回るのも事実だ。2005年秋以降はHDD+DVDレコーダーにもデジタルチューナー内蔵製品が多く登場しており、デジタルチューナーの値段(コストアップぶん)を考えると「2つもデジタルチューナーは要らない」という人も増えてくるのではないか。テレビ側にデジタルチューナーは不要と考えるなら、HDMI端子や許容に広いRGB入力といったプラスαの魅力を持つ製品が登場したといえるだろうし、PCユーザーにとっても極めて魅力的な液晶テレビの1つに挙げられるはずだ。
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