原料は、ポリ乳酸と同じトウモロコシ。ただしポリ乳酸は塗料化に不向きなため、デンプンを改質(エステル化デンプン)して塗料のベース樹脂を開発した。石油などを使う一般的な塗料に比べ、環境負荷が低い。
「一般的な塗料は、焼却する際に化石資源に含まれる炭素から二酸化炭素を作り出してしまう。しかし植物系樹脂塗料は、たとえ焼却されても原料の植物が成長過程で吸収してきた二酸化炭素を放出するだけ。大気中の二酸化炭素総量は変化しない」(同社)。
現在の課題は、従来の塗料に比べて表面のツヤ(光沢)に欠けること。同社では、来春発売のAQUOSから、この塗料を採用する方針だが、スタンドなど比較的目立たない部分から使用していくという。その後は、白物家電にも拡大していく予定だ。
日本ビクターが展示していたのは、キャビネットの表面材にパルプシートを用いた2ウェイバスレフ型スピーカーシステム「SX-L33MK2」だ。通常は、コストが安く、加工も容易な塩化ビニール製のシートを貼るものだが、石油由来の塩ビシートから植物由来のパルプシートに切り替えることで環境負荷を低減したという。
もう一つのメリットは音質の改善だ。新製品は、ネットワーク(内部回路)や吸音材に改良をくわえたものの、キャビネットサイズやスピーカーユニットは従来モデルと同一。このため、周波数特性といった“スペック上の音質”は同じだが、「木を原料とする素材ならではの自然な響きが、定評のある付き板仕上げと同等の優れた音楽表現力を実現した」という。
同社ブースでは、塩化ビニールシートを貼った去年のモデルと新製品を並べていて、希望すれば音を聞き比べることができる。個人的には新製品のほうがクリアな印象を受けたが、是非自分の耳で確かめてほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR