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細やかな階調と豊富な調整機能が魅力――日立「PJ-TX200J」レビュー:Theater Style(2/6 ページ)

» 2005年12月27日 19時46分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 しかし本機ではパネルコントラストが向上し、元気の良い白に見合うだけのコントラスト比(つまり黒の沈み)が得られている。加えて映像処理が変化したのか、階調性、特にシャドウ部における微妙な階調のつながりが改善されている。

 今回の製品でも、アナログコンポーネント入力(あるいはD端子入力)とデジタル入力(HDMI)での画質差が大きく、まるで違うモデルのようにHDMIの方がよく見えるが、その差はTX100Jよりは縮まっているようだ。

photo 背面の端子類

デュアルアイリスで投影環境に合わせた調整が可能

 前述のレンズは、基本的に前モデルと同じではあるが、アイリス機構には変更が加えられた。従来はレンズアイリスのみを装備し、白ピークの伸びと黒浮きのバランスを取っていたが、本機ではランプ直後にもアイリスを配置。開閉を各コマごとの輝度レンジに合わせて動的に変化させるアクティブアイリス機能を実装した。

 つまりレンズアイリスで、設置環境に応じて光出力を3倍の範囲で調整しつつ、動的制御も加えてコントラスト感を増しているのである。同様の機能は三洋電機のLP-Z3にも導入されている。やや明るさを残したリビングでの利用から、真っ暗にして映画館風に投射する場合まで、幅広い設置環境、用途に対応できる点が魅力である。

 アクティブアイリス機能にはオフ(絞り解放)、オート1、オート2の3ポジションがある。オート1と2の違いは絞りの可変幅で、オート2の方が可変幅が大きい(明るいシーンと暗いシーンの輝度差が大きくなる)設定だ。

 ただしオート2は、ちょっとしたシーンチェンジでも大きくアイリスが変化する様子がわかってしまい、不自然さを隠しきれない。オート1の場合も、オート2ほど目立たないものの、かなり開閉が目立つ印象だ。このあたりは、昨年から同様の機構を導入している松下電器やソニーと比べると、経験不足の感は否めない。

 絶対的なコントラスト感においては効果は大きく、レンズアイリスで黒レベルを合わせ込み、アクティブアイリスをオートに設定すると、暗いシーンにおける階調の描き分けが明確になる。それだけに、オート1に関しては捨てがたく、オート1とオフをソースに応じて使い分けるのが良いだろう。

 なお、映像調整の豊富さは健在。特にトーンカーブの調整は細かく、今回はあらたに輝度2%のポイントで明るさの調整を行えるようになった。映画ソースに多い再暗部の階調表現を好みの方向でユーザーに調整してもらおうという意図のようだ。

締まりの良いプリセット画質はノーマルが基本

 本機はシャドウ部での色乗りをほどほどに抑え、階調や色のブレを抑え込んだ締まりの良い画質が特徴に見える。渋めの発色傾向はややもすれば地味な印象もあるが、色が必要以上に乗って不自然な絵と比べると、雰囲気のある絵を描き出す。

 ただ高輝度の領域に比べ、低輝度のレンジでは設定された色温度よりも低めに見える。実際のグレーで計測したわけではないため、もしかすると絵作りによるものかもしれないが、DVDやハイビジョンの基準である6500度に色温度設定すると、輝度レンジの低いシーンにおいて赤が強い発色となってしまう。

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