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ヘッドフォンアンプ高音質化作戦〜Stage1「オペアンプ交換」大人の冬休み電子工作(1/4 ページ)

» 2005年12月31日 03時58分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 いよいよ年末年始の冬休み……といっても、大人の冬休みは短く、なにかとイベントも多いものだ。ちなみに筆者は新年2日からの海外取材が控えており、いまだにこうして原稿を書いている事からもわかるとおり、当面は休みなしの状態が続きそうだ。

 だからというわけではないが、手軽に短期間で楽しめる“遊べるネタ”を探し、少し早めに電子工作を楽しんでみた。選んだテーマは「パソコンと組み合わせ、そこそこに安価で、なかなか音が良いヘッドフォンアンプを作ること」。ただし、ヘッドフォンアンプをゼロから作るとコスト面でも手間の面でも割に合わない。

 そこで、韓国Ego Systems製のDAコンバータ兼ヘッドフォンアンプ「Dr.DAC」を改造して高音質化するという手法を採る。同社は以前からDr.HEADというヘッドフォンアンプを開発していたが、そのときも低価格のベース製品を改造して高音質化するユーザーが多かったという。

photo 韓国Ego Systems製のDAコンバータ兼ヘッドフォンアンプ「Dr.DAC」

 そんな背景もあって、このページを作成したBrichanさんが挑戦したのが、プリ増幅とヘッドフォン駆動を行うオペアンプを高級品に変更する改造である。今回はBrichanさんと連絡を取り、上記ページを参考にしながら、少しだけ異なるアプローチで改造を行ってみた。

 なおEgo Systemsではソケットに装着している2種類のオペアンプに関して、ユーザーが交換しても良い事を公式に発表している。そこで初回の今回は、保証範囲内で簡単に行える(改造とも言えない程度の)オペアンプ交換をStage 1として施した。もちろん、Stage 1があればStage 2もある。というわけで、来年早々にも続編を紹介したい。

Dr.DACと改造のコンセプト

 さて、まずは簡単にDr.DACを紹介しておこう。Dr.DACは名前の通り、オーディオDAC、つまりデジタル音声信号をアナログに変換してラインから出力する機能を持つモジュールだ。しかし、2個の標準フォノ端子とボリュームつまみを装備しており、ライン入力も持っているなど、ヘッドフォンアンプとしての性格も持ち合わせている。

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 デジタル入力は光および同軸ケーブルによるS/PDIFで、CDと同じ44.1kHzから最高は192kHzまでの、16ビットあるいは24ビットの音声信号を入力できる(ただし光インタフェースは96kHzまで)。搭載DACはAKM(旭化成)のAK4395。AKMのDACはAVアンプなどでもよく使われており、PC関連製品ではクリエイティブのE-MU Professinalシリーズのサウンドカードにも搭載されている。

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 今時のパソコンはデジタル出力がついているものが多いので、この製品を使ってパソコン外部でアナログに変換し、好みのオーディオ装置で聴こうというのが、今回の目的だ。試聴はすべてソニーのMDR-SA5000を用いている。

 購入直後の新品Dr.DAC(改造前)は、かなり高域が荒れて低域も膨らみ、ドンシャリ傾向が強いが、半日以上鳴らしておくと徐々にバランスが改善されてくる。解像度が高めで楽器の低位など音像の見通しはなかなかいい。しかし、高域のS/N感がやや悪く低域の力感も少なめ。中高域から上の帯域は潤いが少なく、乾いた傾向の音で耳障りな印象だ。

 改造のコンセプトは、主にヘッドフォンアンプとしての性能を重視し、部品コストも改造時の部品実装も、無理のないレベルで楽しむ事を基本コンセプトとして進めたい。Stage 1ではまだコンデンサ交換などには踏み込まないが、交換する場合にはサイズの大きなコンデンサを使わず、改造範囲や作業がやりやすいレベルで、音質を高めていく事にする。

 たとえばBrichanさんのページでは、ニチコンのMUSE KZというコンデンサを使っているが、実装はとても大変。ということで、作業性も重視したコンパクトなコンデンサを採用した。では、早速Stage 1で調達した材料を紹介しよう。

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