交換作業そのものは非常に簡単。変換基板に向きを間違えないようOPA627BPを半田付けし、ソケットから元々付いているオペアンプを取り外して、変換基板へと交換するだけ。気をつけるのは取り付けの方向を間違えないようにする事ぐらいだろう。
変換基板の足は丸ピン、メイン基板上のソケットは板バネなので、ややグラグラとして気持ちが悪い(だけでなく、おそらく音質的にも悪い)が、メーカー保証の範囲内で改造するならば、これ以上の手は加えられない。気持ち程度だが、ナノカーボンPCをピンに塗り、導通不良が音質や動作のトラブルを生まないように配慮した。
さて、交換後は例によってひどい音がするため、鳴らしっぱなしで一晩放置すると、かなり落ち着いてくる。が、この時点では低域の立ち上がりのスピード感や高域のキラキラ感が目立ち、メリハリがあって音楽的にも楽しい音ではあるが、やや聴き疲れするような印象。
これは失敗したかな? とも思ったが、さらに鳴らし込んでいくと、どんどん角が取れて中域のエネルギー感が増してくる。最終的には低域の膨張感は収まり、中域の厚みが一層増して周波数バランスもいい。改造前との比較では、全体的に数段底上げされた印象で、どこがどう良くなったというよりは、全く違う別物のヘッドフォンアンプになった。
ただし気に入らないところもある。
中高域から上で感じる"かすれ感"が音を乾燥質にしてしまい、擦過音や女性ヴォーカルにおけるサ行の発音などが耳に付く。イメージとしてはカリカリのエッジ描写にさらにシャープネスをかけ、オーバーシュートでリンギングを起こしているといった感じだろうか。
どうやらこのクセは、オペアンプ以外にその原因があるようだ。また低域の膨らみがなくなると同時に量感も大幅に減ったため、このあたりも何かの対策がほしいところだろう。
個人的に、音質調整のポイントは電源と構造的な工夫(取り付け強度など)にあるように思う。そこで12ボルト500ミリアンペアのACアダプタを、12ボルト2アンペアの大型のものに変更してみた。
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