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第40回 撮影と小道具の関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2006年01月26日 09時59分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

外部フラッシュを活用しよう

 暗いところではフラッシュ、というのが定番。発光しない方がいいこともあれば、光らせてちゃんと撮った方がいいこともある。

 ただ、デジカメのフラッシュは小さくて光が弱い。せいぜい3メートルくらいしか届かない。ISO感度を100以下に固定して撮ると、もっと短い。感度が低い方が強い光が必要だからだ。

 でもコンパクトデジカメは外付けフラッシュをつける機能を持ってない。

 じゃあどうするか。実はそんなカメラでも使えるフラッシュがたくさん出ているのだ。「スレーブ」フラッシュと呼ばれるもの。カメラの内蔵フラッシュが光ると、その光を感じて同時に光ってくれる便利なヤツだ。厳密にいえば同時ではないけれども、光に反応するので、カメラのシャッターが開いている間には十分間に合うのである。

 これを同時に使えば内蔵フラッシュの光量不足を補うことができるのだ。小さなものをひとつ持っておくと、夜の集合写真時などに便利。

 スレーブフラッシュは光を感じて光る……つまりワイヤレスで光らせられるので、「ドコにおいてもいい」という面白さがある。被写体の横に置けば、正面からの光と横からの光の両方で撮れるわけで、使い方によってはコンパクトデジカメでも凝ったライティングが可能になるのだ。

 室内の場合、スレーブフラッシュを天井に向けておくと、天井に反射した光が部屋全体に回るので、柔らかい光の写真も撮れる。

 最近では、広い範囲を照らしてくれる広角タイプのスレーブフラッシュもある。これなら部屋の適当なところに置いていつでも光らせれば気軽に補助光付フラッシュ写真を撮ることが可能だ。

今回使った「モーリス ヒカル小町2D」。小型お手軽スレーブフラッシュの代表で、これは広角タイプ。広角タイプは光はあまり遠くには届かないが、広い範囲を照射してくれるので補助光として使いやすい

 普通のフラッシュでも、“スレーブユニット”を装着することで、スレーブフラッシュとして使うことができる。

フラッシュとミニ三脚の間についている聞きが、スレーブユニット。光を検知してフラッシュを光らせる。これは「エツミ スレーブユニット E-528(ホットシュー付)」

 もし既にスレーブ機能を持たない普通の外付けフラッシュを持っているなら、スレーブユニットを買ってくるだけで話が済むので簡単だ。

 ただし、最近のデジカメだとうまくいかないことがある。

 フラッシュを焚くときに、何気なく2回連続して発光する機種が増えているからだ。1回目はプリ発光といって弱く光らせ(このときの光で、最終的にどのくらいの明るさで撮ればいいかを判断する)、次に強く本発光させて撮影するという技だが、1回目のプリ発光でスレーブフラッシュが反応しちゃって本発光の時つかないのだ。プリ発光といっても一瞬なので普通は気づかないくらい。

 よって、スレーブフラッシュにもプリ発光対応のものが増えてきた。今から買うならプリ発光対応モデルにしたい。

 スレーブユニットやスレーブフラッシュには三脚穴がついているのでテーブル三脚につければ好きな方向を向けて設置できる。

スレーブフラッシュを三脚に取り付ければ好きな位置で好きな方向に光を向けられるので、たいてい三脚穴がついている

 小さなフラッシュをひとつ買ってくるだけで、デジカメ単体ではできなかったいろんな撮り方が可能だ。ひとつ4000〜5000円するけれども、いろんな撮影をして遊びたい人は是非挑戦して欲しい。

 では実際に撮ってみよう。

普通に内蔵フラッシュで撮影

 寝ている猫を普通にフラッシュで撮ってみた。これはこれでちょっと暗いけど何の変哲もない写真。内蔵フラッシュで撮った典型的な写真といっていい。

 続いて、スレーブフラッシュを併用してみた。

猫の横、数10センチの距離にスレーブフラッシュを置いて撮ったらこうなった

 左から光が当たってるのが分かると思う。急に爽やかで毛もふわふわ。なぜかというと、内蔵フラッシュの正面からの光だと毛の細かい陰影が消えちゃうのだ。横や斜めから光が当たってはじめて立体的に影がつく。よって横からの光の方が陰影が出て毛のふわふわ感がきれいに出るのである。

同じ位置にスレーブフラッシュを置いて、正面から撮影

 これは同じような位置にスレーブフラッシュを置いて正面から撮った写真。左からの光で面白い効果が出てくれた。内蔵フラッシュはピントが合っている猫の距離に合わせた光量で光るので背景は暗くなっちゃうが、そこを横からのスレーブフラッシュがちょっと補って印象的なライティングになってるのだ。部屋の中なのでちょっと散らかった背景が写ってしまって恥ずかしいけれどもそんな感じなのである。

 スレーブフラッシュは面白いのだ。

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