暗いところではフラッシュ、というのが定番。発光しない方がいいこともあれば、光らせてちゃんと撮った方がいいこともある。
ただ、デジカメのフラッシュは小さくて光が弱い。せいぜい3メートルくらいしか届かない。ISO感度を100以下に固定して撮ると、もっと短い。感度が低い方が強い光が必要だからだ。
でもコンパクトデジカメは外付けフラッシュをつける機能を持ってない。
じゃあどうするか。実はそんなカメラでも使えるフラッシュがたくさん出ているのだ。「スレーブ」フラッシュと呼ばれるもの。カメラの内蔵フラッシュが光ると、その光を感じて同時に光ってくれる便利なヤツだ。厳密にいえば同時ではないけれども、光に反応するので、カメラのシャッターが開いている間には十分間に合うのである。
これを同時に使えば内蔵フラッシュの光量不足を補うことができるのだ。小さなものをひとつ持っておくと、夜の集合写真時などに便利。
スレーブフラッシュは光を感じて光る……つまりワイヤレスで光らせられるので、「ドコにおいてもいい」という面白さがある。被写体の横に置けば、正面からの光と横からの光の両方で撮れるわけで、使い方によってはコンパクトデジカメでも凝ったライティングが可能になるのだ。
室内の場合、スレーブフラッシュを天井に向けておくと、天井に反射した光が部屋全体に回るので、柔らかい光の写真も撮れる。
最近では、広い範囲を照らしてくれる広角タイプのスレーブフラッシュもある。これなら部屋の適当なところに置いていつでも光らせれば気軽に補助光付フラッシュ写真を撮ることが可能だ。
普通のフラッシュでも、“スレーブユニット”を装着することで、スレーブフラッシュとして使うことができる。
もし既にスレーブ機能を持たない普通の外付けフラッシュを持っているなら、スレーブユニットを買ってくるだけで話が済むので簡単だ。
ただし、最近のデジカメだとうまくいかないことがある。
フラッシュを焚くときに、何気なく2回連続して発光する機種が増えているからだ。1回目はプリ発光といって弱く光らせ(このときの光で、最終的にどのくらいの明るさで撮ればいいかを判断する)、次に強く本発光させて撮影するという技だが、1回目のプリ発光でスレーブフラッシュが反応しちゃって本発光の時つかないのだ。プリ発光といっても一瞬なので普通は気づかないくらい。
よって、スレーブフラッシュにもプリ発光対応のものが増えてきた。今から買うならプリ発光対応モデルにしたい。
スレーブユニットやスレーブフラッシュには三脚穴がついているのでテーブル三脚につければ好きな方向を向けて設置できる。
小さなフラッシュをひとつ買ってくるだけで、デジカメ単体ではできなかったいろんな撮り方が可能だ。ひとつ4000〜5000円するけれども、いろんな撮影をして遊びたい人は是非挑戦して欲しい。
では実際に撮ってみよう。
寝ている猫を普通にフラッシュで撮ってみた。これはこれでちょっと暗いけど何の変哲もない写真。内蔵フラッシュで撮った典型的な写真といっていい。
続いて、スレーブフラッシュを併用してみた。
左から光が当たってるのが分かると思う。急に爽やかで毛もふわふわ。なぜかというと、内蔵フラッシュの正面からの光だと毛の細かい陰影が消えちゃうのだ。横や斜めから光が当たってはじめて立体的に影がつく。よって横からの光の方が陰影が出て毛のふわふわ感がきれいに出るのである。
これは同じような位置にスレーブフラッシュを置いて正面から撮った写真。左からの光で面白い効果が出てくれた。内蔵フラッシュはピントが合っている猫の距離に合わせた光量で光るので背景は暗くなっちゃうが、そこを横からのスレーブフラッシュがちょっと補って印象的なライティングになってるのだ。部屋の中なのでちょっと散らかった背景が写ってしまって恥ずかしいけれどもそんな感じなのである。
スレーブフラッシュは面白いのだ。
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