――ノンリニア系のDVDが画質向上してくると、鬼に金棒ですね。
麻倉氏: DVDの場合、画質と起動時間が欠点だったのですがそれがクリアされてくると、がぜんDVDが有利になってくるのです。ノンリニアメディアであるDVDは編集性に関してはダントツですし、1枚ずつ光ディスクに記録するのでそのまま棚に陳列できるなどアーカイブ性も高い。内蔵型のHDDはこのアーカイブ性でダメなのです。1インチのリムーバブル型HDDやSDメモリーカードはメディア単価が高くて保存には向いてません。このようにビデオカメラに求められる全部の項目に○(合格点)が付いているのがDVDなのです。換言すると撮る・見る(再生)・残す(アーカイブ)が揃っているのはDVDだけなのです。DVDは今後のビデオカメラ市場においてDVテープに代わって主役を張るのではないでしょうか。その延長にハイビジョンのBlu-ray Discカメラも見えますね。
――HDDビデオカメラも順調にシェアを伸ばしているようですね。
麻倉氏: HDDビデオカメラといえばビクターのEverioですが、当初の1インチのリムーバブル型HDDでの製品の時はメリットを生かしきれてませんでした。ですが、昨年後半に1.8インチHDDを内蔵したEverio(GZ-MGシリーズ)で“大容量がHDDの売り”としたことで花開きました。
これまでのビデオカメラには、長時間という文化がありませんでした。最高画質でも5〜7時間撮れるという“長時間撮影対応”は、ムービー生活に確実に新しいインパクトを与えていますね。このHDDビデオカメラは、パパママ需要に人気だといいます。HDDビデオカメラはもともとパパママ需要からの脱却を狙って作られたものなのですが、長時間記録が欲しかったパパママのニーズに図らずも応えたカタチになったのは皮肉と言うか、興味深いですね。
もう1つのHDDビデオカメラの追い風は、いよいよソニーが参入してきたということでしょう。この春の新製品「DCR-SR100」は、ソニー伝統の画作りのうまさに加えてビデオカメラとしての基本性能が高い。マルチメディアムービーというカテゴリで勝負をかける東芝「gigashot」といった製品も登場しており、HDDビデオカメラ市場は今後盛り上がるでしょうね。
――SDムービーはどうでしょうか?
麻倉氏: SDメモリーカードを使ったビデオカメラは松下電器が積極的に展開しています。以前、松下はD-SnapシリーズでSDムービーを展開して失敗していますが、今回の「SDR-S100/S300」は3CCDを搭載するなどビデオカメラとしての基本性能を高めており、非常に頑張っているという印象を受けます。D-Snapでの不評を覆さないとなりませんからね。問題は、参入メーカーも多いDVDやHDDに比べて、松下1社ではSDムービーが主流になることはないという点です。さらにSDメモリーカードはメディア単価も高く、あえてカードにしているメリットが現在の製品ではあまり感じられない点もありますね。三洋電機もXactiで頑張っていますけどね。
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