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» 2006年02月28日 22時14分 公開

麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」:メディアの多様化が進むビデオカメラ事情 (2/4)

[西坂真人,ITmedia]

――新しく台頭してきたメディアの特徴を教えて下さい。

麻倉氏: ランダムアクセスできるメディアであるのが特徴的。DVD/HDD/SDメモリーカードすべてノンリニアメディアです。ノンリニアメディアの特徴は、自分の欲しいものがすぐに出せる、編集で順番を自由にかえたり削除も簡単ということです。これによってコンテンツの中身そのものにユーザーが積極的にアプローチでき、ユーザーとコンテンツ間の双方向性も出てきます。

 巨視的に言うと、すべてのメディアはノンリニアへ向かっています。分かりやすく言えば、VHSがDVDになり、D−VHSがブルーレイになったということ。つまり、テープからディスク=頭出し自由なメディアへ行くというのは、パッケージメディアのこの10年の必然であって、その流れがやっと今、ビデオカメラにやってきた、ということですね。

 これまでのリニアなテープメディアの歴史は、ほとんどがいわゆる「記録文化」。赤ちゃんが生まれ、入学式、学芸会、運動会など、記録として撮っておかねばというニーズだけで進んでいたため、撮った後はそのままでたまに思い出した時に観る程度……、そういう時代が30年間続きました。

 ですがこれからの時代は、ノンリニアですから単に記録するだけでなく、自在に編集できて自分の価値観や考えがコンテンツを作り上げるところに反映できるのです。また、単に作るだけでなく、DVDという国際標準フォーマットに焼くこともできるし、それを受け取った人はDVDプレーヤーですぐに再生できる。しかもPCやDVDレコーダ・プレーヤーは広く普及し、DVDディスクも安価に手に入るメディアになりました。トータルでのビデオ撮影を楽しむ“ナマ撮りバリューチェーン環境”が整ってきたのが、今の時代の特徴ですね。テープメディアでは、この広がりは出なかったですね。

注目は「DVD」――今後はビデオカメラの主役に

――新しいメディアの中でも、昨年から特に盛り上がっているのがDVDですね。

麻倉氏: そうですね。私が今、非常に注目しているのもDVDです。DVDビデオカメラは2000年に日立が始めたのですが、出たばかりはまだ画質も未成熟で、本体サイズも大きなものでした。それが5年経って完成度が高まり、非常に洗練されたものになりました。欠点だった起動速度やレスポンスも速くなり、画質もMPEGエンコーダチップの改良でDVDでも結構やるなというクオリティになったのです。

 余談ですが、日立というのは面白い会社で、VHS-Cから8ミリまでやったのですが振るわず、1997年にHDDへMPEG-1方式で記録するMPEGカメラ「MP-EG1」というのを出してきました。画質はものすごくひどくて、ビデオカメラとしては失敗でしたが、MPEGという圧縮方式と、ディスク記録というものに目をつけたところが画期的で先進性がありましたね。そして、この製品のノウハウがDVDビデオカメラに生かされているのです。

――今年春のDVD新製品は、さらに画質がよくなっていると聞いてますが。

麻倉氏: 昨年10月にNHKの「くらしと経済」という番組でビデオカメラの選び方を紹介したのですが、その時にDVテープ/DVD/HDDの主要3メディアを特徴づけるために、一般論として「DVテープは画質、DVDは簡単再生、HDDは長時間」としました。記録圧縮率が低いDVテープ方式に比べ、DVDやHDDのMPEG-2記録は動きが少ない静止画に近いシーンではけっこうキレイなのですが、動きの多い動画だとどうしても画質が落ちてしまうのです。そこで画質ではDVCを上位に置いたのです。

 ですが今年春のDVDカメラ新製品は、MPEGエンコーダチップの性能向上もあり画質が非常によくなりました。特にソニーのDVDカメラの画質が良くなりましたね。今までのソニー製品はMPEG-2での破綻がないようにしていた結果、ディテールを落としてしまっていましたが、今回の新製品では同じMPEG-2方式で同じビットレートでも、なかなか良いですね。日立の春の新製品も同様です。クッキリ系でよくなってきています。また、キヤノンの画質向上も目覚しく、同社DV方式と同じぐらいの鮮鋭感をDVDビデオカメラで表現できるようになりました。

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