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とし子さんと学ぶ「ビエラリンク」コラム(2/2 ページ)

» 2006年03月09日 23時59分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 3つめは、テレビやレコーダーが連携動作してユーザーの手間を省いてくれること。たとえば、一般的な接続方法で「見ている番組を録画」するシチュエーションを考えてみたい。まずDVDレコーダーを起動し、テレビの外部入力を切り替え、DVDレコーダーのチャンネルを合わせ、録画ボタンを押す、という4ステップが必要になる。その間にリモコンを持ち替えたり、場合によってはリモコンを探す手間も発生するかもしれない。

 一方、ビエラリンクで接続すると、1つのリモコンでサブメニューを起動し、あとは方向キーと決定キーを押すだけ。方向キーや決定キーはメニューボタンのすぐ近くに配置されているから、親指を無理に伸ばす必要もない。

photo 「サブメニュー」には「見ている番組を録画/停止」のほかに「視聴制限一時解除」などがある。サブメニューという名称と合わせ、DIGAの録画機能をVIERAの機能として扱っている印象を受ける

 機能の詳細はレビュー記事に譲るが、発表会場で触った範囲では“使える”印象だ。手軽さはHDD内蔵テレビなどに及ばないものの、i.Link機器のコントロールより反応は早く、連携動作も多彩だ。

他社製品との接続性は?

 ビエラリンクの基本技術は「HDAVI Control over HDMI」といい、もともとHDMIの規格に含まれている機器制御の仕様をベースに拡張したものだ。HDMIケーブルには、ハイビジョン映像のTMDSストリームやS/PDIFオーディオなどを伝送するラインと並び、操作信号伝送用のラインが用意されている。

 ただ、現在のHDMI仕様(HDMI 1.2a)では、コントロール仕様が“オプション”扱いであることもあり、まだどこのメーカーも採用していなかった。ここに初心者向けの味付けをして、いち早く「快適ソリューション」を作り上げるあたりが松下らしい。

 同社によると「仕様の枠組みでは、標準コマンドにくわえ、メーカー独自の拡張コマンドが利用できるようになっています。標準の部分は制約がありますが、実装の際には、メーカー側にある程度の自由度を持たせているわけです」(松下電器AVCネットワーク開発センターの松尾景介主幹技師)。たとえば、DIGAの操作やホームシアターシステムへの対応は独自拡張にあたるという。

 では、他社からHDAVIコントロール機能を持つ機器が登場したとき、ビエラリンク対応機器とつないで、どの程度の機能を使えるのだろうか。

 松尾氏は「他社の情報がないのでわからない」と前置きした上で、「メーカーそれぞれの対応によりますが、制限は出てくると思います。たとえば、ある機能を動かそうとしたとき、接続した機器の電源が入っていないと動かないとか……。逆に、テレビの電源を落としたときに他機器の電源もオフにするといった動作は標準的な部分なので、他社製品との連携もできるはずです」と話していた。やはり、電源など基本的な部分だけになる可能性が高そうだ。

 AVファンとしては少々残念だが、もともとメーカーが競争力アップのために仕様拡張の余地を設けたわけで、その部分が他社製品で利用できないのは仕方のないところかもしれない。松下は最初からプロプライエタリな技術として扱うために「ビエラリンク」の名称を与え、同時に「松下の製品が繋がる」という明快なメッセージとした。おそらく、“とし子さん”のように機械が苦手という人たちでも、間違えることなく製品を選べるはずだ。

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