S6の撮影・再生関連以外のトピックといえば、無線LANとイメージリンク対応だ。幅広い他機器との連携をサポートしたデジカメなのである。
無線LANはWi-Fi対応の802.11 b/g対応。無線LANで可能なのは、ワイヤレスプリントとワイヤレス転送。転送はWindowsにもMacにも対応していてうれしい。
手元にワイヤレスダイレクトプリントの機材(PictBridge対応プリンタとワイヤレスプリンタアダプタが必要)がなかったので、今回はワイヤレスデータ転送のみをテストしてみた。
準備として付属ソフトをインストールし、カメラとPCをクレードルを介してUSBでつないでカメラ側の設定と無線LAN環境の登録を行う。
転送はカメラ側からの指定と、PC側からのコントロールの2種類。前者はカメラ側で転送をはじめるとPCは自動的に受け取り始める。後者はカメラ側をPCコントロールモードにし、PC側でサムネイルを見て転送する画像を選ぶという感じだ。
転送にかかる時間は、6Mバイトの標準サイズ画像で1枚当たり約4秒。速いわけじゃないが、ワイヤレスでさっと済ませたいとき、というよりは、「特定の画像だけさっと転送して見せたい」「気に入った画像だけさっとプリントしたい」ときに便利かと思う。ケーブルでつないだりカードを抜いたりしないでさっと送れから。
もうひとつの何気ないトピックはイメージリンクプリントシステム対応。これはコダックのEasyShareをベースにしたプリントシステムで、コダックのほかにペンタックスやニコン、オリンパスなどが参加したケーブルレスのプリントシステム。
EasyShareはコダックのデジカメをプリンタードックに載せるだけでプリントが可能になるというシステムだが、それをベースにした標準規格で、2006年になってやっと数社(ニコンとオリンパスとペンタックス)から対応製品がでてきたのだ。
S6にはイメージリンク用のアダプタが付いており、それをコダックのプリンタードック3に置けば、簡単にダイレクトプリントができる。操作はプリンター側のボタンで行い、デジカメの画面をコントロールするのが特徴だ。
試しにやってみたが非常に簡単。多くのダイレクトプリンタはUSBを使ったケーブル接続だが、ケーブルレスで載せるだけでOKなのは驚くほど手軽だ。
今後このイメージリングプリントシステムが広がっていくかどうか(イメージリンク対応プリンタがコダック以外から出てくるか、も含めて)は未知数だが、個人的には注目してる。
そんなわけで、COOLPIX S6は意外に個性的で、いいところも悪いところもはっきりしてるデジカメだ。
良いところは薄型でウェーブサーフェイスのデザイン。前面がフラットじゃないのはなかなかカッコいいし、薄いので持ち歩きも楽だし、カードサイズに比べてちょっと大きい分持ちやすい。
それに何よりロータリーマルチセレクター。このクルクル回すインタフェースは非常に快適だ。再生時も同様に、快適に楽しめる。無線LAN対応やイメージリンク対応も注目。
逆にイマイチなのは顔認識AFの条件が厳しいこと、高感度への対応(ISO50のまま引っぱりすぎ)、画面にシャッタースピードや絞り値などの撮影情報が表示されない、という主に撮影機能面だ。
とはいえ、普通のフルオート系デジカメとしては十分なヒット率を持ち画質も安定していてきれいなので悪いデジカメじゃない。人物をきれいに撮れる、という点を主張する設計も悪くない。
そういう意味では、「D50」や「D200」ユーザーが「携帯用にサブデジカメが欲しいな、できれば薄くて小さい方がいいな」というニーズや、「ブレない高感度デジカメ」というトレンドには弱いけど、普通に「カッコよくて人物がきれいに撮れるハイテクっぽいデジカメが欲しい」という人向けだ。
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