本体の重量は775グラム。なかなか頑張った数字だと思うが、用途を考えると少しばかり微妙な重さだ。たとえば、自宅内で持ち歩き、好きな場所でDVDを楽しむには“適”だ。前述のスピーカークレードルと組み合わせ、簡単にスマートなデスクトップシアターができあがる。本体側面の光オーディオ出力や映像出力(ミニジャック)を使って外部機器と組み合わせることも可能。DVDウォークマンはDolby DigitalとDTSのデコーダーを内蔵している。
また飛行機や新幹線など、席が確保された移動手段にも合いそうだ。側面にある2つのイヤフォンジャックを利用して、2人で映画を楽しめる。一方、本体にスピーカーが内蔵されていないため、車載用としては“いまいち”。この点は、オプション(車載キットなど)が登場すると状況が変わるかもしれない。
ただし、混み合った地下鉄などには適さない。もともと上着のポケットに収まるサイズではないし、大きな画面も周囲の注目を集めてしまいそう。背面はバッテリーが少し出っ張っていて、ここに指をかければ片手で持つことはできるが、つり革に掴まりながら片手で775グラムの重量を支え続けていたら、翌日には筋肉痛に悩まされそう。音楽用“ウォークマン”のイメージで捉えていると、少しがっかりするかもしれない。
再生可能なDVDメディアは、DVDビデオ、DVD±R、DVD±RW。2層メディアやDVDハンディカムで撮影した8センチDVDメディアもサポートしている。ただし、CPRMは非対応のため、デジタル放送のコピーワンス番組を録画したディスクは再生不可。同時にリリースされた「DVP-FX810」は対応しているだけに残念だ。
DVDビデオを再生して画質をチェックしてみた。まず解像感は十分に確保されていて問題なし。しかし映像は全体的に赤が強い傾向で、ソフトによっては人の顔が酔っぱらっているように見えるときもあった。また、コントラストが必要以上に高く、ある程度の明るさを境にして、中途半端に暗い部分はツブれて暗くなる。逆に、それより少し明るい部分は白くなってしまうのも難点だ。
ここからは完全な予想だが、輝度を稼ぐために開口率の高いパネルを使っているのではないだろうか。開口率が上がれば、バックライトの明るさを抑え、バッテリー駆動時間を延ばせる一方、白浮きや黒ツブレも発生しやすくなる。他社製の低価格ポータブルDVDプレーヤーでも同じ傾向が見られるため、ソニーといえどコストやバッテリー寿命による制限が大きかった、ということかもしれない。実売3万5000円という価格を考えると、とりあえず納得はできる。
ただし、ときどきグラデーションの境目付近にアナログチックなノイズが走るのは非常に気になった。あるいは試用機固有の問題かもしれないが、製品版では改善されることを期待したい。
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