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“何でも撮れる”手ブレ補正付高倍率機――キヤノン「Powershot S3 IS」レビュー(1/5 ページ)

» 2006年05月26日 13時59分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 2006年春に出た光学式手ブレ補正レンズ搭載12倍ズームデジカメは3機種。松下電器産業の「DMC-FZ7」(以下、FZ7)、キヤノンの「Powershot S3 IS」(以下、S3 IS)、ソニーの「DSC-H5」(以下、H5)。

 もっとも大きく変わったのがFZ7。デザインが一新され、よりカメラらしいスタイルになったが、ちょっと大きくなり、前モデル「DMC-FZ5」の圧倒的な“小ぶり感”がなくなったのは残念。それでも今回の3モデルの中ではもっとも軽くてコンパクトな12倍ズームなのが一番の良さか。

 H5は一番大きくて思いけれども3.0インチともっとも大きな液晶モニターと、ダイヤルによる操作が特徴だ。

 それに対してS3 ISは前モデル「Powershot S2 IS」(以下、S2 IS)を踏襲したデザインでマイナーチェンジに近いモデルで一見地味だ。

 重さはH5とあまり変わらないし(約406グラム)、液晶モニターは2.0インチと前モデルより大きくなったものの、FZ7の2.5インチやH5の3.0インチに比べるといかにも小さく感じる。

 でも、汎用性ではS3 ISが一番いい。

 ほかのモデルにはないフリーアングルタイプの液晶モニターはハイアングル・ローアングル、縦位置でのローアングルなど様々な姿勢での撮影を容易にしてくれる。最近フリーアングル液晶の製品が減ってるのでそういう意味でもうれしい。

 動画専用ボタンを押せばいつでもVGAサイズ30fpsでステレオ音声の動画を撮れるので、ちょっとした動画にも強い。

 さらにS3 ISで追加された高感度仕様がなかなか便利。単に最高感度を上げたのみならず、ISO感度の上げ方にも工夫されているからだ。

 そんなわけで、トータルの使い勝手で見るとS3 ISは非常に捨てがたいのである。

コンパクトにまとまっているが、レンズの位置といいグリップといいストロボ部といい実にカメラらしいデザイン。色がブラック系になってより精悍に

高感度対応の12倍超望遠ズームモデル

 S3 ISは一見、S2 ISと大きな違いはない。

内蔵フラッシュは手動ポップアップ式。グリップ部はほどよく飛び出ており、シャッターボタンの周りにズームレバーがある

 レンズは35〜432ミリの12倍ズームでF2.7〜3.5。最短撮影距離はマクロで10センチ(ワイド端)、スーパーマクロにするとズームがワイド端固定になってレンズ直前(0センチ)まで寄れるようになる。テレ端は90センチだ。スーパーマクロ機能がなかなかいい。

 撮像素子は1/2.5インチの600万画素CCD。S2 ISの500万画素から増え、現在もっともポピュラーなCCDが採用された。

上面から。上部に撮影モードダイヤル、電源など。電源は左に回すと撮影、右に回すと再生、中央を押すとオフという独特の構成。アイピースがレンズの真上にあるのは感覚がつかみやすくてよい
正面図。丸みを帯びたなで肩のボディが特徴。右上に見える丸い窓はAF補助光。レンズの左右の肩にステレオマイクが見える。

 AFはIXYで採用されているAiAFではなく中央一点が基本。ただし、SETボタンを押せばAF位置を任意の位置に(といっても端っこは無理)設定できるし、マニュアルフォーカスやフォーカスブラケティング撮影もできる。この辺はハイエンド系の仕様で、とても便利だ。

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