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川崎が熱い! ハイレベルな闘いが続出の「ROBO-ONE J-class」ROBO-ONE J-class 第7回大会(2/3 ページ)

» 2006年08月08日 13時26分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]

喪愛(あいづ)

 マラカスを持って踊りまくるモアイ。解説の先川原正浩さんによれば、「ネクタイを頭に巻いてカラオケボックスで歌っているサラリーマン」。わたしもツボに入っちゃったみたいで、笑いをこらえるのに必死だった。規定演技をこなしていないこともあって、予選で敗退してしまったのだけど、あとからみんなに聞いてみると、これが印象に残っているって人がいっぱいいたのだ。記録より記憶に残るマシンということで、ここには記録。

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決勝トーナメント

 決勝トーナメントは予選の上位32チームによって行われた。予選の規定演技が「走る」だったのだけど、それがこちらにも反映されている。予選を通過できるのはやっぱり走れるロボットであり、走れるやつはそれだけじゃなくて、身体全体の運動性能が高いのだ。そういうやつ同士が戦うのである。試合は面白くなる。

 また、今回は、Petapinaの他にも「アサルト」(芝浦工業大学ロボット技術研究サークル)、「NOVA-K」(桑久保貞行)と自律型ロボットが3体も決勝トーナメントに進出した。ロボットが自分で敵を捜して自分で攻撃をするのだ。攻撃はいいのだけど、まだ防御を自律で行うことはできないようで、3体とも殴られるときは殴られっぱなしになってしまう。そのため、みなノックダウンあるいは3ダウンで初戦で敗退してしまった。

 しかし、例えばNOVA-Kはautomo01(holypong)相手に、自動でパンチを繰り出すところを見せるなど、観客の拍手は十分に浴びた。

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ありまろ6(スミイファミリー)vs繭(Project MAGI)

 1回戦第9試合。J-classの常連「ありまろ」は毎回サフィックスの数字が増えてきているのだけど、今回は6になった。相変わらずの綺麗なデザインだけど、脚がちょっと長くなっている。第5回、第6回大会を連覇して来たロボットだけれど、今年は「走る」ことに特化したために「あまり強くないんです」とのこと。そのせいか、今回の操縦はいつものお嬢さんではなくお母さんである(with Familyにしてこなかった)。

 対する「繭」は、今大会屈指のビジュアル系だ。右手に包帯を巻いた熊のぬいぐるみ、左手に注射器という姿だけど、実は操縦者もこの「繭」と同じ格好をしているのだ。でも、見かけにだまされてはいけない。非常に高い運動性能をもっているのだ。しかも熊と注射器でなぐってくるのである。なんだか精神的にダメージをうけそうだ。

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 試合は、いきなりありまろ6が浴びせ倒しで繭を倒すところから始まった。浴びせ倒しのように、自分も倒れながら相手を倒す(正確にいうと、自分の足裏以外の部分を地面につけることで、相手に攻撃をしかける)技は、ROBO-ONEでは「捨て身技」と定義され、同じ捨て身技は、1試合に1度しか使えないことになっている。

 さて、繭はすぐに起き上がるが、リング中央でありまろ6がせめる。そして30秒、再びダウンを奪う。と、思ったのだが、このときの技が最初と同じ捨て身技だ。「同じ捨て身技は1回しか使えない」ルールにより、これはノーカウント。

 1分20秒、こんどは繭が浴びせ倒しでダウンを奪う。お互いにかなり安定したマシンなので、捨て身技以外ではダウンを奪えなくなっている。起き上がった直後の1分35秒、こんどはありまろ6が、両手を床につけてのくちばしつつき(これも捨て身技)で、ダウンを奪う。このあとは、お互いにポカスか殴り合うのだが、ダウンを奪うことはできない。ダウン数2-1でありまろ6の勝利となった。

キングカイザー・Jr(マルファミリー)vs KZR-4(KAZZ)

 準々決勝第1試合。速度と速度、技と技の応酬の好ゲーム。「走る」がもっとも端的に表れた試合だ。

 最初、動きの鈍かったキングカイザー・Jrに対しKZR-4は積極的に周りを走り回り、離れた位置からリーチの長いパンチを繰り出す。それも相手が歩き出そうとしたその瞬間をねらうので効果的だ。開始17秒、27秒と、立て続けにダウンを奪う。

 追いつめられたキングカイザー・Jrは、ここから反撃を開始する。2度目のダウンから起き上がった直後32秒に、今度はキングカイザー・Jrが離れた位置からのパンチでダウンを奪う。その後しばらくは、お互いに間合いをつめられない。パンチが届かない位置で牽制しあう感じだ。しかし1分27秒、キングカイザー・Jrが浴びせ倒しでダウンを奪い、ついに2-2となる。そして、最後のダウンを奪ったのもやはりキングカイザー・Jrだった。ダウン数3-2で勝利。最後のダウンも浴びせ倒しのように見えるのだが、おそらく、手のポジションが異なるので別技と見なされたのだろう。

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 このあたりまでくると、マシンの性能よりも、操縦者の一瞬の判断が勝敗を分けるようになるのだ。

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