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小型軽量ボディに多機能を凝縮――ニコン「D80」レビュー(3/4 ページ)

» 2006年10月06日 05時53分 公開
[永山昌克,ITmedia]

見栄えを重視した鮮やかな発色

 撮像素子には、APS-Cフィルムサイズの有効1020万画素CCDを搭載する。撮像素子のサイズや画素数はD200と同等だが、画像処理のシステムが異なり、画質の傾向にも違いがある。どちらかといえば素材性重視のD200に対して、D80では彩度やシャープネスが強調されていて、メリハリのある絵となる。

 もちろんメニュー内の「仕上がり設定」を使って画質の傾向をカスタマイズできるが、今回の試用では主にデフォルトの「標準」を利用した。単に彩度を高めたというよりは、特に赤や緑が明るく描写されるなど、色ごとに作り込まれた絵作りという印象を受ける。また暗部が明るく再現される傾向がある。

 個人的には、見栄えを重視した「標準」の画質傾向は非常に面白いと思うし、もっと使い込めば、より狙いに応じた画像を撮れると感じた。ただし、ややクセのある画質であり、同じシーンを他のカメラで撮ると、絵の雰囲気がかなり異なるケースもあった。

 ちなみに「仕上がり設定」の「標準」は、階調補正や彩度、輪郭強調などが「標準」や「強」に固定されるのではなく、被写体に応じて自動調整が働く「オート」になる。つまりシーンごとにカメラが最適と判断した設定になるようだ。他のカメラと併用する場合や、後処理を前提に撮る場合には、画質をカスタマイズして撮ったほうがいいかもしれない。

 トータルとしては、ファインダーや液晶が見やすく、AFなどのレスポンスが速く、ホールドバランスに優れたカメラとして不満点がほとんど見当たらない。標準の画質傾向については好みが分かれるが、これくらい個性がないと逆につまらない。高感度画質のレベルの高さや、画像編集機能、マイメニュー機能なども気に入った。

 最新のデジタル一眼レフ機なのに、メカ的なゴミ除去機能に対応していない点は、私自身は特に気にならなかった。ただ一般ユーザーへのアピールとしては弱いかもしれない。私自身の個人的な要望は、それよりもむしろ、外装にもっと高級感を持たせて欲しいことだ。さらに連写モードがより速くなれば文句ナシだ。

 もっとも、仮にそんなことを実現したらD200になってしまう。日進月歩で進化するデジカメは、クラスごとの差別化にメーカーも苦心しているんだなあ、と実感する。

「仕上がり設定」のメニュー画面。選んだ項目に応じて、輪郭強調や階調、彩度などが変化する

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