SRS Audio Sandboxがどのように動作するのかを見てみよう。すべてのアプリケーションのオーディオ再生に関してプロセッシングする必要があるわけだから、システムに常駐することになる。
Sandboxをインストールすると、まずオーディオデバイスの仮想ドライバとして組み込まれる。通常は再生アプリケーションから、本物のオーディオデバイスのドライバに直接オーディオが渡るところを、その間に割り込んでオーディオプロセッシングをしたのち、オーディオデバイスに渡すのである。
このような仕組みであるため、対応できるサウンドカードに限界があるということなのであろう。現状はUSBオーディオデバイスにも対応していない。またドライバとは別に操作の顔として、コントロール用のソフトウェアが常駐する。
さて、Sandboxには4種類のサウンドプロセッシングが可能なわけだが、それぞれに効果が異なる。簡単に説明すると、
SRS WOW HD:フロントサラウンド感の増強、低音増強、高域補正効果。ステレオスピーカー及びヘッドフォン用
SRS Circle Surround II:2ch音源を5.1ch化。低域増強、声の明瞭化
SRS TrueSurround XT:5.1ch音源をステレオスピーカー用にバーチャルサラウンド化
SRS Headphone 360:5.1ch音源をヘッドフォン用にバーチャルサラウンド化
ということである。このうちSRS Circle Surround IIのベースとなったCircle Surroundは、放送用収録や放送そのものにも使われている技術だ。Sandboxでは2chから5.1chしかやっていないが、本来は双方向のエンコード、デコードが可能な技術である。
例えばサラウンドを収録しようにも、6ch分のマルチトラックを持つカムコーダーというのはそうそうない。そこでサラウンド音声を2chにエンコードして、ステレオトラックに収録、再生時にはデコーダーを通して6chを取り出す、という使い方である。
またCircle Surroundの特徴としては、6chを2chにエンコードしてしまった音声も、ステレオのオーディオトラックとしてそれなりにちゃんと聴くことができる、という特性を持っている。
これはビデオ編集するコンテンツには非常に便利な特徴で、映像編集時には2chオーディオのつもりで編集し、完パケのオーディオトラックにデコーダーを通すことで、サラウンド音声を取り出すこともできる。編集時にわざわざサラウンド環境を用意しなくて済むため、ノンリニア編集でも十分対応できる。
またCircle Surroundでエンコードされた音声を放送波にそのまま乗せても、多くの人は普通のステレオ放送として聴けるわけだが、デコーダーを搭載したアンプを持っている人はサラウンドで聴ける、といった使い方もできる。実際に2004年には、Tokyo FMがCircle Surround IIを使ったサラウンド放送を実施している。
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