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コラム
» 2006年10月10日 09時07分 公開

小寺信良:PCによるオーディオプロセッシングの世界 (1/3)

音楽をPCでしか聴けないことをネガティブにとらえる人がまだまだ多い。しかしPCならできるということも、また、あるのだ。その一例がPCによるサウンドプロセッシングである。

[小寺信良,ITmedia]

 先々週のコラムでは、サブスクリプション型音楽配信サービスについて考えてみた。すでに先週からNapsterの配信サービスがスタートし、1週間のお試し期間があることから、とりあえず加入してみたという人は多いようだ。

 Napsterのサービスには、PCで音楽を聴くだけのNapster Basicと、ポータブルプレーヤーに音楽が転送できるNapster to Goの2つがある。それぞれ月額1280円と1980円で、その差は700円。どれぐらいの加入比率なのかは知る由もないが、おそらくBasicの加入者の方が多いと思われる。というのも、転送が保証されているプレーヤーがまだ少ないからである。

 人によっては、「PCでしか聴けない」というネガティブなとらえ方をすることだろう。だから「PCでしか」を「PCなら」に転換する何かの仕掛けが必要だ。そこで筆者がPCで音楽を聴くことならではのメリットとして掲げたいのが、ソフトウェアによるサウンドプロセッシングである。

 これまで、オーディオ機器としてPCをとらえた例は少ない。だが改めてそういう視点で見直してみると、PCは非常にいじりやすい環境である。サウンドカードを換える、スピーカーを換えるといったハードウェア的な要素に加えて、ソフトウェアによる音質改善効果も存在するからだ。

 ソフトウェアによる音質改善と言えば、音楽再生ソフトの付属機能として一般的なイコライザを使うという手法が思いあたる。だが昨今ではそれ以上の効果を狙ったもの、特に圧縮音源特有の損失を補完するためのアルゴリズムといった研究も、次第に成果が上がってきている。

SRSのサウンドプロセッシングソフト

 SRS Labsと言えば、ドルビーやDTSのようなサラウンド関係の技術会社だと思われがちだ。もちろん立体音響という意味でのサラウンドという方向性は持っているが、実際には音質改善に関する技術をメインとする米国の会社である。

 ドルビーのような目立ったロゴライセンスは行なっていないこともあって、サウンドプロセッシングとしては広く知られていないように思える。だが潜在的に利用しているという例は多い。

 Windowsユーザーであれば、Windows Media Playerをメインのプレーヤーとして利用している人もいるかもしれない。このWindows Media Playerには、SRSの「WOW」というプロセッシング技術がデフォルトで組み込まれている。

 またカーオーディオでもKENWOODやFUJITSU TEN、Panasonicといった大手メーカーで、「WOW」や「Circle Surround II」などの採用例が多い。テレビではSONY、東芝、Pioneerらが採用している。あなたが知らない間に、実はSRSのお世話になっているかもしれないのだ。

 これまでSRSの技術というのは、ハードウェア組み込みがメインだった。というのも、やはりソリューションに併せて効果をチューニングする必要があるからだ。もちろんユーザーがスイッチオンで手軽に最大の効果を得ることができると言う点では、組み込みは意味がある。

 それが先月、すなわち9月から、SRSの音質補正技術がソフトウェアとして提供されることになった。「SRS Audio Sandbox」というソフトウェアがそれだ。19.95ドルでSRSのオンラインショップから購入できるが、フリーのトライアル版もある。

 このソフトウェアが提供するのは、「SRS WOW HD」、「SRS Circle Surround II」、「SRS TrueSurround XT」、「SRS Headphone 360」の4つである。効果の方はあとで説明するとして、導入に関して注意点がある。それは、使用できるサウンドカードに制限があり、現在のところ以下のサウンドーカードなどでの動作が確認されている。

Creative Labs Audigy family (including Audigy 2 and Audigy 2 ZS)

Creative Labs Sound Blaster Live! family

SoundMAX-based codecs

Realtek-based codecs

Conexant-based codecs

 サウンドカードとして独立していなくても、オンボードのオーディオ回路でも上記のシリーズであれば動作するようだ。ただし、4つの効果のうち「SRS Circle Surround II」だけは、5.1chのオーディオ出力が必要になる。

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