ITmedia NEWS >

今年の「グッドデザイン大賞」は「アイ」

» 2006年10月25日 20時39分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
photo 三菱自動車工業の軽自動車「i」(アイ)

 Gマーク制度の創設から半世紀。50回目の節目を迎えたグッドデザイン賞のグランプリにあたる“グッドデザイン大賞”に輝いたのは、三菱自動車工業のプレミアムスモールカー「i」(アイ)だった。

 今年は国内外から3000件近い応募が集まり、1次/2次審査を経て、既に1034件のグッドデザイン賞、特別賞、および大賞候補の「ベスト15」が選出されている。そして10月25日、都内のホテルでグッドデザイン大賞の選出/表彰式が行われた。大賞を決めるのは、受賞者と審査委員による投票だ。

 まず、ベスト15に選ばれたデザインの担当者が3分間のプレゼンテーションを行った。限られた時間で製品の概要とデザインコンセプトを紹介するのは難しく、今年は予めビデオを用意してくるケースが目立つ。そうした中、会場の注目を集めたのがCYBERDYNEのロボットスーツ「HAL-5」。同社社長兼CEOの山海嘉之教授は、壇上にHAL-5を持ち出し、重い箱を持ち上げるパフォーマンスを繰り広げた。

photophoto 「HAL-5」のデモ。重い箱を持ち上げているとき、誤って電源スイッチを切ってしまうトラブルも……。右はダイコングレーター「オクソー グッド・グリップス」。プレゼンを担当したのは、ロボットなど多くの分野でプロダクトデザイナーとして活躍している山中俊治氏(Leading Edge Design代表)。「まさか大根おろしでグッドデザイン賞にくるとは思わなかった」

 「i」(アイ)は、新生三菱自動車が満を持して投入したプレミアムスモールカーだ。経済性に優れ、環境負荷も小さい軽自動車ながら、「極限まで鼻が短く、タイヤの間隔が長い」(三菱自動車工業常務、商品開発統轄部門担当の相川哲郎氏)独特のプロポーションと高い居住性などが特徴。「ホイールベースが長いと旋回性能に疑問を持つかもしれないが、アイではエンジンを後輪車軸前に配置する“リア・ミッドシップレイアウト”で二律背反の問題を解決した」。前方にエンジンがないリア・ミッドシップでは、タイヤの切れ角を大きくできるため、小回りがきくという。

 最初の投票では、プレゼンテーションのインパクトが強かったか、1位は「HAL-5」、2位に「オクソー グッド・グリップス」がランクイン。「アイ」は3位だった。グッドデザイン大賞の場合、1位と2位に票差がつかなければ、上位の製品に絞って再投票が行われる。結局、今年も3回めの決選投票までもつれ込み、HAL-5を抑えた三菱「i」(アイ)が大賞に輝いた。なお、大賞以外の14件は「グッドデザイン金賞」となる。

photophoto 決選投票の結果(右)

 賞状とトロフィーを受け取った相川氏は、「2年前に品質の問題を起こして以来、このような晴れがましい場所や賞は、最も縁遠いものだと思っていた」と感慨深そうに話す。「その2年間を支えてくれた仲間(社員)、そして、その家族に感謝したい」。

photophoto 三菱自動車「i」(アイ)デザインチームの皆さん(左)と相川氏

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.