事の発端は、9月下旬に届いたアバックからのダイレクトメールだ。同社はAV製品を扱うショップで、古くから通販にも力を入れている。AV雑誌「HiVi」などの広告でご存じの方も多いだろう。電話で注文をした際、在庫があれば同日中に発送してくれるため、数年前までは頻繁に買っていたのだが、最近はWebショッピングの普及で、そうしたサービスもめずらしいものではなくなり、めっきり利用していない。
それはともかく、今回送られてきたのは、秋葉原店の改装にともなう会員向け特価セールだとかで、特設ページのURLが記載されていた。「特に安いものはないなあ」と思いつつ眺めていたところ、ビクターの61型フルHDプロジェクションテレビ“BIG SCREEN EXE”「HD-61MH700」の価格で目が止まる。“43万8000円”。価格コムで調べてみると、最安値よりもほんの少し安い程度だったが、それでも「発売開始時に比べると、かなり値が下がっているんだな」と、ことのほか脳裏に刻み込まれてしまった。
プロジェクションテレビとは、スクリーンの裏側から映像を投影するリアプロジェクション方式を採用した製品である。通常の(フロント)プロジェクターでは数メートル先に設置したスクリーンに投影を行うため、“部屋全体、あるいは大部分のスペースを捧げる”必要があるのに対し、プロジェクションテレビは筐体の内部に投影機構とスクリーンを収めており、使い勝手の面では一般的なテレビとほぼ同じ。
国内ではあまり目立たない存在だが、ブラウン管の時代には、パイオニアの40型プロジェクションテレビのほか、「39型画面で奥行き39センチ、39万円」という売り文句を引っ提げて登場した、日立製作所の「C39-WE40」(1994年発売。詳細は国立科学博物館−産業技術の歴史などを参照のこと)が鮮明に記憶に残っている。また、主流がLCD(透過型液晶)方式へ移ってからは、ソニー「グランドベガ」やエプソン「LIVINGSTATION」が、この市場を牽引してきた。
そして現在、国内におけるプロジェクションテレビの主役は、前述の「BIG SCREEN EXE」と、ソニーの「BRAVIA A2500シリーズ」だと言っていいだろう。ともに自社開発の1920×1080解像度のLCOS(反射型液晶)系デバイスを採用しており、前者は「D-ILA」(Direct-Drive Image Light Amplifier)、後者は「QUALIA 006」と同様に(同一のパネルではないが)「SXRD」(Silicon X-tal Reflective Display)を搭載している。
以前記事でも書いたとおり、わが家ではもうずいぶんと長らく、フロントプロジェクターによる大画面投影と小型液晶テレビを組み合わせ、視聴コンテンツや時間に応じて使い分ける“費用対効果の高い”スタイルをとってきた(10年ほど前の80型+13型から始まり、最終的には110型+23型)。ただ、そろそろ買い換えの時期に達しており、しかも、いま購入するとしたら、フルHD環境に切り替えておきたい気がする(仕事柄)。しかし、仮に37型フルHD液晶テレビとフルHD液晶プロジェクターを併用するとしたら、最低でも合計で50万〜60万円くらいはかかってしまうだろう。
それに、ホームシアターのかたちは1つではない。これまでとは違うスタイルも一度は試しておくべきではないか、と。また、わが家の場合、リビングを特にホームシアター仕様にしているわけではないので、フロントプロジェクターでの映画鑑賞はどうしても日没以降が主体となってしまう。勤め人の時代はそれで問題なかったわけだが、いまは昼間でも大画面のほうで、レビュー機材からの表示を試したり映画を観たいという欲求が増してきた。
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