ITmedia NEWS >

今年オススメの最新DLPホームシアタープロジェクター(前編)DLPプロジェクターの賢い選び方(2/2 ページ)

» 2006年11月20日 18時14分 公開
[ITmedia]
前のページへ 1|2       

本田: カラーブレーキングに関しては、“色が分離して見える”という話が必要以上に強調されています。見える人は見えるけど、見えない人には全く見えない。僕の場合、4倍速は見えるけれど、5倍速はほとんど見えません。以前は5倍速でもカラーブレーキングが発生していたんですが、最近、あまり見えなくなってきたんですよ。

photo

小原: カラーブレーキングが見えないという人には、ある意味“幸せだね”と声をかけてあげたいですね。見えないからこそ、DLPという魅力的な選択肢を購入の候補に加えることができる。実は僕も最近、カラーブレーキングが見えなくなってきたんですよ。1080p対応DLPに関しては、モノクロ映画以外は全く問題なし。だから、カラーブレーキングを知識だけで心配するのではなく、実際に目で見てから判断してほしいと思います。

本田: 一度は実物で確認しておいた方がいいでしょう。同じカラーホイールの速度でも、最近は徐々にカラーブレーキングが見えにくい機種が増えてきた気がしています。

小原: そう。今年のモデルに関しては、カラーブレーキングでストレスを感じたことはありません。各製品の開発レベルで、カラーブレーキングが見えにくくなるような工夫しているのではないでしょうか。

――DLPと言えば高コントラストというイメージがありますが、実際の数値としては他方式も追いついてきていますね。でも実際の絵を見ると、やっぱりDLPの方がコントラスト感があります。このあたりはなぜなのでしょう?

小原: 液晶プロジェクターはアイリスを制御することで、スペック上のコントラスト比を上げて数値をアピールしてきました。しかし、元々のDLPのコントラストの高さに追いついているかと言えば、そうでもありません。スペック上での違いは確かにありますが、見た目の印象ではDLPの方が高く感じられますね。

本田: アイリス制御を用いてスペック上のコントラストを上げると言っても、あまりアイリスを大きく動かすと、やはり不自然さが目立ってしまいます。なので、結局、画質重視の映画を見るモードなどでは、あまり大胆に制御できず、スペック値通りのコントラスト比にはならないという問題もあります。アイリスの動的な制御そのものは、確かに効果のある場面もありますから否定しませんが、コントラスト面でのDLPの優位性は、高コントラストな反射型液晶パネル搭載機が登場した後にも発揮できるでしょう。

小原: その一方で、DLPはもう少しミッドレンジの製品が拡充するとなお良いと思います。エントリー機にDLPを選ぶ人というのは、黒の沈みと安定感。再暗部の艶っぽい黒、輝かしい黒を求めていると思います。

本田: そうですね。黒といっても、映像の中には階調や質感といった情報もありますから、黒の中の黒をどう描き分けるかは重要です。その点、DLPは暗部の表現が実に安定していて不安感がない。

小原: その黒の表現力を理由にDLPを選んでいる人は、次もきっとDLPが欲しくなる。でも720pでエントリーしてきて、次はフルHDにしたいと思うと、いきなり100万円オーバー。その間の価格帯に、フルHD機が来るとステップアップもしやすいのですが。

本田: これではDLPの受け皿がない。実は以前も似たような状況があって、透過型液晶パネル搭載機でホームシアターの世界にエントリーしたけれど、次にステップアップしようとすると、100万円クラスのDLPしかないという状況もありました。しかし今年は実売で50万円を少し超えるあたりに反射型液晶パネル採用機があります。これがステップアップユーザーの受け皿になるかもしれない。

小原: 50万円程度の予算で見当している消費者が反射型液晶パネルに行くというのは、おそらくDMD素子を開発しているTIも本意ではないでしょう。せっかくDLPファンになってくれたのですから、DLPファンに対して中間価格層に製品が投入されるといいのですが。

photo

後編予告: 商品層が薄かった50万〜100万円以下のミッドレンジ価格帯に、期待のフルHD DLP機が登場した! そのほか、昨年に比べて大幅に買いやすくなったフルHD DLPプロジェクターの“賢い選び方”を、小原氏と本田氏が分かりやすく紹介する。


photo

ボーナス前に読んでおこう! DLPプロジェクターの賢い選び方

DLPホームプロジェクターは、価格面でも画質の面でも、全く新しい局面に入っている。分かりやすい解説で“DLPの今”を把握し、気鋭のAV評論家2人の対談を読んでこの冬“買い”のDLPホームシアタープロジェクターを見つけてみよう。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.