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» 2006年11月30日 10時21分 公開

永山昌克インタビュー連載:ウェブ動画に最適なインプットデバイス――「EX-S770」開発者インタビュー (3/4)

[永山昌克,ITmedia]

旅行やビジネス用に役立つデータキャリング

――データキャリング機能は、どんな発想で生まれたのですか?

柳氏: 「見る」ことに重点を置いたデジカメは、これまであまり見たことがありません。本来は「撮る」ための道具であるカメラに対して、「見る」ための新しいアプローチを加えることは簡単ではありませんが、大きな可能性があると感じていました。

 デジカメユーザーでパソコンを使っている人は非常に多く、パソコンの横にデジカメが置いてあるシーンは今や当たり前に見かけます。そこで、パソコン上の情報をデジカメに送って、デジカメの液晶で見ることができればきっと便利だろう、プリンタの紙の削減にもつながると思ったのです。

 実は私自身は、従来のデジカメでもパソコンの画面そのものを撮影して、ちょっとしたメモ用に活用していました。ただその場合は、画面を撮ったデータと撮影データとがカメラの中で混在してしまいます。それらをきっちりと整理整頓して管理・表示できる機能を盛り込めば、そんな使い方をしてくれる人が増えるのではないかと思いました。

――データキャリング機能は、かつての「カシオペア」などPDAを連想させますが、その移植と考えていいのですか?

柳氏: 完全に同じではなく、データキャリング機能に似ていることはPDAでも可能ですが、それをカメラで実現したらこうなりますというアプローチです。またリアルタイム性を求めるなら、携帯電話で情報を検索し表示することもできるでしょう。ただ携帯電話の検索性や操作性は、パソコンに比べると不自由な面もあります。いつも使い慣れたパソコンで情報を調べ、それを素早くカメラに転送でき、いつでも見られるようにしておけるという意味では、EX-S770のデータキャリング機能は携帯電話以上の使い勝手があります。

 データキャリングのポイントは、パソコンの情報をJPEGファイルに変換して転送していることです。画像にしているからこそ、再生やズームなどの操作がストレスなく軽快に行えます。そもそもカメラのエンジンは画像処理に最適になっていますから。

 またデータキャリングのひとつ「電子ブック」機能は、PDAからの移植といえるかもしれません。ニッチな提案ではありますが、とんがった機能やカメラを好まれる人たちに対しては、カメラで本が読める面白さをアピールできると思います。

 例えば海外旅行に行く際、事前にウェブで情報を下調べすることは多いでしょう。その情報をEX-S770に転送しておけば、ガイドブックの代わりに現地で手軽に見られます。さらに、移動中に電子ブックを楽しむこともできますし、もちろんカメラとして撮影する本来の目的も達成できます。

――データキャリングを実現する付属ソフト「データトランスポート」と「フォトトランスポート」の使い分けは?

柳氏: 2つのソフトでは、操作のアクションが大きく異なります。まず「データトランスポート」は、パソコンの画面を印刷したいと考えた場合に、紙ではなくカメラに出力できる機能です。出力したデータはDATAフォルダに格納され、DATAボタンを押して再生できます。一方の「フォトトランスポート」はパソコン上にある写真をカメラに戻すという役割りです。フォトトランスポートで取り込んだデータは、他の撮影画像と同じようにPLAYボタンを押して再生できます。

――2つのソフトごとにフォルダを分けてあることは便利だと思います。ただし「フォトトランスポート」では、写真だけでなく、パソコン画面の部分キャプチャもできますよね。そのデータが撮影画像と同じフォルダに入ってしまうのは、ちょっと不便に感じますが。

柳氏: 確かに画面キャプチャに関しては、DATAフォルダに入ったほうが便利かもしれません。転送時にフォルダを選べるようにするなど、今後の改善テーマのひとつにさせて下さい。データキャリングは実用性の高い機能になったと自負していますが、使い込んだお客様から様々な意見をいただき、さらにブラッシュアップしていきたいと思います。

――「フォトトランスポート」では、他のデジカメも含め、これまでにで撮った写真をEX-S770に出力し表示できる点に、個人的に魅力と可能性を感じました。

柳氏: 撮った写真をパソコンのHDDに入れたままにするのは、もったいないですよね。せっかくカメラに大きな液晶モニターがあるのだから、写真を再びカメラに戻して鑑賞を楽しんでもらいたいという用途提案を込めています。例えば、友人と集まるときに昔撮った写真を焼き増しして渡す感覚でカメラの液晶で見せる、といったコミュニケーションツールとしての利用も想定しています。

photo DATAボタンを押した際に表示されるデータのアイコンに関して、どんなデザインが分かりやすいか、様々な案が検討された。右下が採用されたもの
photo 「EX-S770をプロジェクターにケーブル接続し、プレゼン用にも活用できます。パソコンよりも起動が速く、写真や文書、エクセルの表なども素早く呼び出せます。実際にうちの部内会議でも利用しています」(柳氏)

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