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ウェブ動画に最適なインプットデバイス――「EX-S770」開発者インタビュー永山昌克インタビュー連載(4/4 ページ)

» 2006年11月30日 10時21分 公開
[永山昌克,ITmedia]
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表示の発色をカスタマイズできる独自の液晶

――従来のEX-Z1000から受け継いだ部分ですが、EX-S770では液晶表示の発色やレイアウトを細かく設定できます。元画像に忠実に表示するだけでなく、コントラストや彩度を強調して表示できるのは独創的ですね。

柳氏: 画像をプリントアウトして楽しむ場合は、できるだけ忠実に液晶表示し、イメージ通りに撮れたかどうかを正確に確認できることが必要です。これはとても大事なことですが、写真の最終的な鑑賞形態はプリントに限りません。液晶で写真を見て楽しむという使い方では、液晶表示でより美しく見せることも必要だと考えます。印刷の場合に、色が若干補正されることがありますが、それと同じ発想で補正して液晶表示するのも、ひとつのアプローチとしてあっていいと思います。

――御社のデジカメは、様々なデバイスをほかから購入しているのでしょうか? 他社製品との差別化のポイントは何ですか?

柳氏: LSIの設計開発は当社独自で行っています。LSIは、カメラの様々な機能を実現するためのキモになる部分ですから、差別化の大きなポイントになっているといえます。余談ですが、LSIの自社開発はかつて「電卓戦争」と呼ばれた、電卓の技術競争の時代からの当社の伝統です。競争に勝つには汎用のLSIではなく、自社で開発し、それをブラックボックスにする必要があります。

 また液晶モニターも完全な自社設計で、今回のEX-S770のワイド液晶のように独自にカスタマイズしたものを作ることができます。レンズやCCDに関しては、デバイスそのものの開発力はありませんが、それらを積層したり実装する技術、薄型形状にまとめる技術、ソフトウェアの開発などに力を注いでいます。また商品として仕上げる企画やコンセプトの部分も頑張れているのではないかと思います。

 我々が得意でない部分に関しては、デバイスのメーカーから購入することが必ずしもデメリットばかりではありません。この製品にはA社のものを、この製品にはB社のものをというように、商品のコンセプトに合わせて好きなものを選べるメリットがあります。レンズに関しては、ありものを買ってくるだけでなく、企画段階から要望を出し、カスタム化したものを作ってもらったりもしています。仮に、デバイスのすべてを自社開発をしようとすれば、社内的に他社ものは使いづらくなるでしょうし、外販するなどしてデバイス事業そのものでも収益が上げる必要が生じるでしょう。

――購入検討中の読者にアピールして下さい。

柳氏: スタイリッシュなカメラに興味がある人は、ぜひ手に取って見て欲しいと思います。今回のEX-S770では、今までのEX-S500やS600の色みとはまた異なり、両者を並べて比較すると昔のモデルが少し古ぼけて見えるくらい、外装の品質や質感もブラッシュアップしています。

photo 柳氏が手にするのは赤のカラーバリエーションモデル。「ステンレスに電着塗装を施すことで、光沢感や質感を保ちながら、深みのある赤を実現できました」(柳氏)
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