さっそく、ノイズキャンセリング機能を実際に試してみよう。
まずは音楽を流さず、スイッチも入れず室内で装着してみた。イヤーパッドはもちろん、ヘッドバンドにもレザーパッドが装着されているため、ソフトな装着感だ。密着感も高く、装着しただけでもかなり室内の音を遮断する。
音楽を流しながらスイッチ入れると、一瞬だけダイナミックレンジが狭くなったようになり、期待通りエアコンやパソコンのファンの音といった低い騒音がカットされる。しかし、比較的静かな室内では「サーッ」というノイズキャンセリングの動作音が気になる。直接比較はしていないが、以前試用したQuietComfort2/3(レビュー)よりも無音時の動作音は大きいように感じる。
次は地下鉄の構内と電車内で試用。音楽を流しながらノイズキャンセリングのスイッチを入れると、ゴーッという風切り音はほとんどキャンセルされ、レールの継ぎ目を乗り越えるガタッという音もかなり軽減された。接続したポータブプレーヤーの音量を上げてしまうと、車内アナウンスすら聞き取りにくくなるのは少々困りものだが、それでもかなりの能力があることが体感できた。
ただ、ホームや地下鉄構内で風を受けるシーンで音楽を切る(音量を絞る)と、フィードフォワード方式を採用する影響なのか、風切り音がかなり聞こえる。音楽を流していれば気が付かないといはいえ、ホームでは入線する電車の案内を聞くために一時的に音楽を切る(音量を絞る)シーンも多いはず。改善を望みたいポイントだ。
音質面では40ミリドライバーの恩恵か、かなり芯のある低音を再生する。バスドラやベースラインの低域はかなりの迫力だが、そこに重きを置いた設定ともなっているようで、高域のヌケや広がり感、爽快感といったニュアンスはあまり持ち合わせない。ジャズやクラシックなどを聞く際に欲しい、繊細なニュアンスの高音の再生もあまり得意ではないようだ。
一方で楽しく聞けるのはポップスやロック、テクノなど。特に打ち込みのベース音とは相性がいいようだ。サラウンドをオンにすると、バックコーラスやリズムギターなど、裏のラインが浮かび上がるようなサウンドに変化する。一部の楽曲では、リバーブのような効果も同時にかかってしまうので、正直に言って、かなり好みが分かれるエフェクトだ。
「騒音を1/5にカット」という宣伝文句はダテではない。最もノイズキャンセリング機能を使いたい電車内ではフィードフォワード方式の採用もあってか、かなりの騒音をカットしてくれる。筆者の場合はややクランプ圧が高めで頭部への圧迫感も感じたが、移動中に利用するアイテムとして考えれば許容範囲内だろう。
「室内でより集中したい」という目的でノイズキャンセリングヘッドフォンの購入を検討するケースもあるだろうが、本製品はその用途にはあまり適さないように思う。無音時でも「シャー」という動作音がするのはアクティブ型の宿命だが、他製品に比べてもその動作音は大きめという感がぬぐえない。
折りたたみ機構によってかなりコンパクトにできるので、カバンに放り込んで出張に持っていくといった用途には非常に適する。密閉型ということあり、常時利用するヘッドフォンとして考えるにはやや大型だが、出張や通勤時に「静かなリスニング環境を手に入れたい」という要望に応える製品といえるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR