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» 2006年12月22日 09時11分 公開

DVDレビュー:れこめんどDVD:「キングダム・オブ・ヘブン ディレクターズ・カット(Blu-ray Disc)」 (1/3)

オーランド・ブルーム主演の史劇大作「キングダム・オブ・ヘブン」がBlu-ray Discで登場。50Gバイトの容量をフル活用したこのディレクターズカット版は、DVDにはもう戻れないと思わせるだけの魅力を秘めている。

[飯塚克味,ITmedia]

Blu-ray Discの大容量をフル活用したニューバージョン

「キングダム・オブ・ヘブン ディレクターズ・カット(Blu-ray Disc)」

発売日:2006年11月10日
価格:4935円
発売元:20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
上映時間:194分(本編)
製作年度:2005年
画面サイズ:シネマスコープサイズ・スクイーズ
音声(1):DTS−HD/5.1ch/英語
音声(2):DTS−HD/5.1ch/日本語

 2005年5月、「ロード・オブ・ザ・リング」で人気沸騰のオーランド・ブルーム初主演作として鳴り物入りで公開されたものの、思うように興行収入は伸びなかった史劇大作「キングダム・オブ・ヘブン」。

 だがその後、見た人の間から徐々に高い評価を獲得し、オスカー受賞の「グラディエーター」とは全く違う流れで一定の地位を得ている。今回は劇場公開版より約50分長いディレクターズ・カット版が登場。遅れてDVDも発売されたが、やはりこのような大作はハイビジョンでこそ真価を発揮する。今回はBlu-ray Discで再生したニューバージョンの魅力をお伝えしたい。

 プレイステーション 3の発売にあわせて、この秋ついに各社からBlu-ray Discの発売が始まった。アナウンス後、発売延期になったタイトルも相当数あるが、一部のマニアの間で最も発売延期が懸念されていた作品が、この「キングダム・オブ・ヘブン ディレクターズ・カット」だ。

 その理由は本ディスクがBlu-ray Discの容量(50Gバイト)をフルに使用した片面2層ディスクであること。本家のソニーからも当時、まだ2層のBlu-ray Discが発売されておらず、技術的な問題から不安視する意見も多々見られた。しかしそんな不安をよそに予定通り発売された。ラインアップに旧作が多い中、ディレクターズ・カット版での登場ということでユーザーの注目度も高く、今では人気ソフトの1つとなっている。

 仕様はシネスコサイズを1080pの高画質で収録。音声は英語・日本語ともにDTS-HDのロスレスサウンドとなっている。

他の史劇作品とは一線を画す仕上がり

 そもそも「キングダム・オブ・ヘブン」とはどういう作品なのか?「エイリアン」「ブレードランナー」のリドリー・スコット監督が、「グラディエーター」に引き続き放った歴史スペクタクルというのが一般的な見方だろう。

 この時期、「グラディエーター」の大成功でハリウッドの王道ジャンルだった史劇ものが息を吹き返し、「ロード・オブ・ザ・リング」で露わになったVFX技術の進歩で、問題であった壮大なエキストラシーンも以前より映像化しやすくなった。そういった要素が絡み合い、この時期、ハリウッドは本作を初め、「トロイ」「アレキサンダー」「キング・アーサー」といった作品を連発した。

 しかし、日本国内では観客の飽きもまた早く、似たような作品が連発される中、「キングダム・オブ・ヘブン」もその1本として扱われてしまった。公開時期がほとんど世界同時公開で、充分な宣伝期間を取れなかったこともマイナスに作用したと言える。聖地エルサレムを守る十字軍と、それを奪還しようとするイスラム軍の戦闘という東洋人には馴染みのない世界観も観客を遠ざけた要因と思われる。

 また、この映画の不幸な点はエルサレム王がハンセン病であったことを正面から描いたことでもある。映画宣伝をする上で、こうした微妙な問題を扱った作品は宣伝しづらく、下手をすれば作品の内容に関係なく、マスコミから槍玉に上げられてしまう危険性をはらんでいるからだ。パッケージにハンセン病に関する記述が表記されているように、現在は、薬物療法で完全に治療できるもので、映画のような悲劇は起こりえないことを知っていただきたい。

 物語は12世紀、フランスで鍛冶屋をしていた青年バリアンが十字軍に参加し、徐々にその頭角を現し、聖地エルサレムを守るため、イスラムの戦士たちと戦うというものだ。簡単にまとめるとあっけないが、劇場公開版でも登場人物たちの苦悩が丹念に描かれ、娯楽性を優先させていた他の史劇大作とは一線を画したものであることは充分感じられた。

リドリー・スコットのこだわり、ディレクターズ・カット版

 リドリー・スコット監督の作品はディレクターズ・カット版で登場することが他の監督よりも多く、特にバージョンの多い「ブレードランナー」ではディレクターズ・カットとされる「最終版」には多くのファンが衝撃を受けた。

 それまでは人間として描かれてきた主人公の捜査官デッカードが何と人造人間であるレプリカントであることが暗示されるのだ。明るいエンディングの映像もばっさりカットされ、ダークな雰囲気で幕を閉じるというオリジナルとは似ても似つかないラストはある意味、作者の徹底した思いが強く感じられ、劇場で見た時はますますこの作品が好きになったものだ。

 ほかにも「エイリアン」や「レジェンド/光と闇の伝説」「ブラックホーク・ダウン」にもディレクターズ・カットがあるが、詳しい解説はここでは省いておきたい。ちなみに「グラディエーター」もロング・バージョンが存在するが、これは監督非公認の未公開シーンを復活させたものであることは覚えておいた方がいいだろう。

 本ディスクのチェックはプレイステーション 3。HDMI接続で液晶プロジェクターによる80インチのスクリーン再生と42インチのプラズマで行った。

 まず冒頭の20世紀フォックスのロゴから、従来のDVDとは全く違っている。夜空に光る星も鮮明になり、思わず数えてしまいたくなったほどだ。

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