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リアプロでホームシアター環境の再構築を試みる(完結編)フルHDブラビア導入記(2/3 ページ)

» 2006年12月29日 11時49分 公開
[浅井研二,ITmedia]

 次に「ランプの寿命が気になる」という点。この製品の場合、ランプ交換時期の目安は8000時間となっている。仮に1日10時間視聴したとしても、800日は持つ計算だ。その場合でも仕様どおりに行けば2年以上、少なくとも1年間は交換しなくてもいいだろう。ランプの価格は定価2万6250円(実売で2万円程度)で、たしかに、これまで通常のテレビを利用している人にとっては“高い維持費”に思えるかもしれないが、一方で、フロントプロジェクターのユーザーはあまり高価な部類ではないと感じるに違いない。また、「交換しなければならない」と考えるか、あるいは「液晶テレビのバックライトなどとは異なり、自分の手で簡単に新品へと交換できる」と捉えるかによっても、印象はかなり変わってくるものだ。

Photo ランプの交換時期が近づくと、画面上にランプ交換を促すメッセージが表示される(らしい)ので、交換用ランプ「XL-5200」を購入し、ユーザーが自分で交換すればいい

店頭では暗く見えても、自宅でもそうとはかぎらない

 さらに核心的な部分では、「リアプロは画面が暗い、ボケる」という懸念も、一般にはあるかと思う。実際に昼夜を問わず、テレビ番組、映画、音楽ライブ、さらにはゲームまで、さまざまな映像ソースを眺めているわけだが、自宅での観賞で暗いと感じたことは一度もない。また、ボケるどころか、逆にフォーカス感は出色ともいえ、結果として、立体感に優れた奥行きのある映像を提供してくれる。

 しかも、設定はデフォルトの「ダイナミック」ではなく、常時、強調要素のない「スタンダード」となっているうえ、消費費電力モードすら「減」だ(あらためて説明書を読んでみるとと、“通常は「スタンダード」でご覧になることをおすすめします”とわざわざ書かれているのには苦笑してしまった。それでも店頭展示を意識して、出荷設定は「ダイナミック」にしなければならないジレンマか……)。映像に関して気になることといえば、画面の四隅にほんのわずかな輝度落ちが見られることと(全白にしないと気づかない程度だが)、窓との位置関係によっては画面への映り込みが目立つことくらいである。

 この製品を含め、プロジェクションテレビでは「映画向き」と評される場合が多いものだ。たしかにそのとおりではあり、否定はしないが、この表現だけでは「映画観賞以外には向かない」と捉えられかねない。しかし、昼間にテレビ番組を観ている際にも、決してヤセ我慢をしているわけではなく、一般的なテレビと同様に自然に眺めている。

 個人的に、とりわけ「KDS-50A2500」の映像を堪能していると感じるのは、ハイビジョンで録画した音楽ライブを観賞しているときだ。黒に支配されたコンサート会場の中、スポットライトを受けて浮かび上がるアーティストの表情や、華やかな舞台装飾といったシーンの描写では、暗部表現、立体感、色合い、コントラストなどにおける、この製品のたしかな実力を見せつけてくれる(音響はもちろん、内蔵スピーカー出力ではない)。

 映画を観る際にはこちらもなにかと“身構える”ものなので、フロントプロジェクターでかまわないわけだし、そもそも画面サイズからいっても、どちらが“より”映画向きかはいうまでもない(ただ、WOWOWで洋画を観る場合、100型超では字幕が大きすぎてあきれてしまうほどなので、その際は50型くらいがちょうどいいともいえるが)。しかし、音楽ライブの場合は作品に没頭するというよりは、気分に応じて、ハードディスク上の膨大なファイルを気の向くままに選んで再生し、ジュークボックス的に楽しむケースがほとんどだ。その意味でも相性はいいといえる。

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