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» 2007年03月28日 08時41分 公開

レビュー:「テレビをiPod化する」Apple TVがわが家にやってきた (5/5)

[松尾公也,ITmedia]
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Apple TVがiPodである理由

 Apple TVが「テレビ用Mac」ではなく「テレビ用iPod」である理由をいくつか挙げておこう。その最大のものが、「ユーザーアカウントが存在しない」ことになるのではないかと考えている。

 これだけ複雑なことをするシステムにもかかわらず、Apple TVには「ユーザー設定」というものが存在しない。それは、家族全員で使うことを前提としているからだ。つまり、Apple TVは家族全員で共有して使うiPod。そこには共有しておいて問題のないコンテンツ以外は置かない、というのが前提だ。

 同期するiTunesマシンやストリーミングするiTunesライブラリのコンテンツ設定はきちんとしておく必要があるが、共有したいと思ったものを全員で観たり聴いたりするのに、これほど適したSTBは現時点では見つからないだろう。特に、写真と音楽に関しては。

 写真の共有には、DVD作って見るという手間が省ける。音楽もつくし、有名なKen Burnsエフェクトでかっこいいプレゼンテーションが可能だ。家族の1人が買ったCDや、全員が再生できるiTunes Storeの楽曲をほかの家族に紹介する、といったことが、メディアの出し入れなしでできるのは、Apple TVの大きなメリットと言える。それを可能にするのは、「ユーザーアカウントがない」からかもしれない。

ボリュームは要改善、二重音声の対応も望みたい

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 最後に、改善を望みたい点について記しておこう。まずは、リモコンだ。Apple Remoteはたしかにシンプルで使いやすく、超コンパクトで、通常の使用で困ることはない。しかし、テレビにつなげると、しばしばボリュームをしぼったり、映画の会話が聞き取れなくて音量を上げたりする、といったことが発生する。

 音楽だけならば、サウンドチェックをしておくことで音量を平準化しておくことも可能だろうが、動画の場合にはそのチェックが効かないのだ。

 この単純なボリューム調節がApple Remoteで行えないのは不便だ。テレビの音量まで変えるのは対応が難しいだろうから、Apple TV内での音量を上下キーの長押しなどで変更できるようにしておくべきだろう。

 それができるまでは、Apple Remoteの機能を別のリモコンに移して使うのが現実的かもしれない。学習型リモコンにApple Remoteを覚えさせるのは簡単だ。サードパーティーや本家から、テレビのビデオソース切り替えとボリューム上下、消音くらいがついた強化型Apple Remoteが出てくるとおもしろくなるのだが。

 もう1点。これは以前から主張していることなのだが、iPodは二重音声に対応していない。もちろん、iTunesも。悲しいことにApple TVも同様だ。二重音声の切り替えを実装しないというのは理解に苦しむところだ。

iTunesにコンテンツをためこんだユーザーならば「買い」

 改善ポイントがいくつかあるにはあるが、iPodでできることはすべてでき、FairPlayのライセンスを温存したままHDテレビの大画面に出力できるという魅力は非常に大きい。構築しているiTunesライブラリが重要であればあるだけ購入の意欲は高まるだろう。既に数十から数百Gバイトのライブラリを構築していて、それを家族と共有したいという人にとって、Apple TVは明らかに最良の選択肢だ。

 地上デジタルテレビ、次世代DVD、次世代ゲーム機は、どれもリビングに人を集めて、その時間をできるかぎり奪い取ろうとしている。そこへ「音楽」を核として参入してきたApple製STBは、初回としてはなかなかの出来栄えといっていい。

 地デジはもちろんプレイステーション3やXbox 360、Wiiの存在も大画面テレビ購入の決め手にならなかったという人にとって、家族で音楽やポッドキャスト、写真を共有できる場を提供するApple TVが最後のワンプッシュになる可能性はある。

 残るは日本向け映画、テレビ番組コンテンツの充実だ。iTunes Storeで販売するための権利クリアは難しいだろうが、ぜひ実現してほしい。

 H.264で録画してiTunesライブラリに追加してくれるバッファローの「PC-MV9H/U2」、自動録画してH.264に変換された番組がポッドキャスト形式で取得できるというfoltiaなど、先進的な録画環境が日本にはそろいつつある。Apple TVに対応した録画機器を充実させるためのサードパーティー支援も日本のアップルには望みたい。

 これらが実現すれば、Apple TVの「リビングシェア」は相当に高まるはずだ。

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