デジモノ家電を読み解くキーワード
HDMI(1)――デジタル時代のAVケーブル
ケーブル1本でOK
HDMI(High-Definition Mulitimedia Interface)は、デジタル機器を接続するインタフェースの規格だ。映像と音声のデータを一括転送できるため、従来は2本以上のケーブルで接続していたテレビとDVDレコーダーも、HDMIケーブルならば1本で用が足りてしまう。しかもデータはデジタルのままで、理論上信号の劣化はない。さらに制御信号も扱えるので、テレビとDVDレコーダを連携動作させることも可能。スマートさとインテリジェント性をあわせ持つ、デジタル家電向けの接続規格なのだ。
HDMIはゼロから策定された規格ではなく、PCのデジタルディスプレイ接続規格「DVI」をベースにしている。そこへ音声信号とHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)という著作権保護を目的とした暗号化プロトコルの仕様を盛り込み、さらに機器認証などの制御信号をサポート、ケーブル1本にまとめたものがHDMIの姿といえる。
デジタル家電、特にAV機器の分野では、HDMIが急速に普及している。ケーブル1本でOKというスマートさもあるが、流れる信号はフルデジタルで劣化しないため、ソースに忠実な映像/音声を楽しめるという特徴が評価されている。実際、一度アナログ信号に変換されるD端子やS端子経由の映像と比較すると、映像のシャープさやノイズの少なさは1ランクも2ランクも上という印象だ。
HDMIが指向される理由
テレビのデジタル化を推進する米国では、HDCP非対応のテレビは販売できないこともありHDMI対応機器が急増しているが、ここ日本でも現行の薄型テレビやHDDレコーダーを中心として急速に普及している。消費者の関心も高く、HDMIインタフェースの有無が機種選定の重要な条件になるほどだ。
Blu-ray DiscとHD DVDに採用されている著作権保護技術「AACS」を巡る関心も高い。AACSが規格化される段階では、HDCPにより保護されるHDMIにのみハイビジョン出力を認め、アナログ出力は標準解像度(SD)の映像に限定される可能性があったからだ。
とりあえず2010年末まではアナログ出力が認められたが、強力な著作権保護機構を求めるコンテンツホルダー側の意見もあり、規格の見直しが予定されている2011年以降はどうなるかわからない。その急速な普及の裏側には、HDMIを選んでおけば安心、という消費者心理も働いているはずだ。
執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
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