――デジタルとフィルムの使い分けについては?
大野さん: 最近はデジタルで撮る機会が増え、フィルムカメラは眠っていることが多いですね。ただ、ミャンマーでは中判のフィルムカメラ「マミヤ6」を使ったり、たまにフィルムを使いたくなることもあります。撮影中に結果が分かるデジタルは、確かに便利ではありますが、余韻や緊張感、ドキドキ感がありません。液晶モニターを見てしまうと、現実に引き戻される気がします。そこで最近は、デジタルカメラなのに、あえて液晶モニターを無視して撮ることもあります。
もちろんデジタルならではの大きなメリットも感じています。大切な写真を間違いなく撮れたと確認できる安心感や、撮ったその場で相手に液晶を見せて、さらにコミュニケーションを深められる点などです。連続撮影カット数が多いのも大きな魅力です。
――イエメンの撮影では、オリンパス「E-330」を多用したそうですが、その使用感はいかがですか? ライブビューは多用しましたか?
大野さん: イエメンはホコリや砂が非常に多いですが、ダストリダクションシステムのおかげで安心してレンズ交換ができました。ライブビューについては、楽しみながら活用しました。気が付けばファインダーを覗いていることが多かったですが、植物などをマクロ撮影するときなどは特に重宝しました。
――「E-410による女性写真家展」の出品写真は、ご自身の娘と夫という、これまでの海外スナップとは異なるテーマです。
大野さん: 最近、出産当日の妊婦さんを撮影しました。出産や子どもというテーマには以前から興味を持っていました。そして自分自身が妊娠したときには、これから生まれてくる子どもを、フィルムカメラでじっくり撮ろうと考えていました。しかし実際には、とてもじゃないですが、そんな余裕はありません。ましてやフィルムを詰め替えるなどは、作業している間に子供が泣き出したり、フィルムを口に入れそうになったりと、写真を撮るための手があと2本欲しいと感じるほどです。今回「E-410」の作品展の依頼をいただき、小型軽量のデジタル一眼レフ機だったので、思っていたよりすんなりと撮影できました。これ以上重たいカメラであれば、子育ての合間に手早く撮るには不向きだったと思います。
撮影場所は家の中や近所の公園です。撮る前は、ありふれた場所で作品が撮れるかどうか少々不安もありましたが、光や影にポイントを置いて構図を探してみれば、ごく身近な場所でも、絵になるシーンはいくらでもあるんだと、今回の撮影であらためて実感しました。また自分の家族が被写体だと、どうしても主観的な見方になり、客観的にとらえるのが困難です。しかし、なるべく頭の中を切り替えるようにすると、娘や夫でも作品として面白く撮れる気がします。
――E-410の使用感は?
大野さん: 初めて手にしたときは、グリップがなく、手からすべり落ちそうな印象でしたが、実際に使ってみると予想以上に手になじみました。シャッターボタンの感触や、タイムラグ、ほどよい連写スピードに関しても、私の撮影スタイルには合っています。
ボディが軽いので、子どもを抱いたまま、片手で撮ることもできます。もちろんコンパクトデジカメや携帯電話のカメラならもっと手軽に撮れますが、E-410は手軽でありながら、ちゃんとした画質が伴っていることが魅力です。また旅の撮影では、荷物を持ったまま立ったり座ったり走ったりすることが多いですが、そんなときにも小型軽量ボディが役立つと思います。
――これからの予定は?
大野さん: 娘や夫をテーマにした写真はこれからも撮り続けるつもりです。また将来的には、ハンガリーの騎馬民族やアメリカ南部の人たちを撮る計画も考えています。
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