前編では「RD-A600」の最大の特徴と言えるHD DVDに関連した機能に触れた。今回は引き続きレコーダーとしての使い勝手を検証していこう。
RD-A600は、レコーダーとしての機能の多くを「RD-S600」から継承しているが、「RD-XD91/71」から導入された「RDエンジンHD」を「VARDIAエンジン」に進化させ、カタログではわかりにくい部分にも多くの改善が施されている。なお、RD-S600の詳細なレビューを行っていなかったため、RD-S600から導入されている機能に関しても意図的に取り上げている点はご了承いただきたい。
RDシリーズは、高速ダビング時の予約録画実行など、マルチタスク的な動作はもともと得意としていた。その反面、RD-XD92/72ではデジタル放送の2番組同時録画に対応したものの、2つ目のTS録画ユニットである「TS2」で録画していると(2番組同時録画中でなくても)各ナビ画面を一切呼び出せず、実質的に何もできないという機能制限を抱えていた。この点は「RD-S600」でも同様だった。
しかしRD-A600では、この機能制限が大幅に緩和された。「TS2」単独録画中の制限がほぼ解消されたことはもちろん、2番組同時録画中でも録画済み番組やHD DVD-R/DVDメディアの再生、追っかけ再生、編集などが可能になっている。HD DVDビデオの再生は行えないが、現時点ではHD DVDビデオの視聴頻度を考えると大きなデメリットにはならないだろう。
2番組同時録画の組み合わせも柔軟になった。デジタルW録世代のRDでは、デジタル放送をそのまま録画する「TS1」「TS2」、デジタル放送をSD品質にダウンコンバートもしくは地上アナログ放送や外部入力を録画するための「VR」(本機では「RE」と表記されるが、過去の経緯もあるためここでは「VR」と表記させてもらう)の3つの録画ユニットを持っている。RD-XD92/72の場合、2番組同時録画は「TS1+TS2」「VR+TS2」に制限されていたが、本機では「VR」録画が地上アナログ放送や外部入力の場合は「TS1+VR」も可能だ。デジタル放送の2番組同時録画に関してはRD-S600から変化はないが、予約録画の時間が重なった時、「TS1」の録画予約を「TS2」に振り替えてから「VR」で録画予約するという手間が大幅に減る。
また今回は実機検証で漏れてしまったのだが、「TS1+VR」でもとくに制限がないとすれば、CMカットに非常に便利なマジックチャプター機能も、組み合せは限定ながら2番組同時録画時に両方の録画で有効ということになる。マジックチャプターが「TS2」録画時には利用できない点は変わっていないからだ。
さらに2番組同時録画中でも、空いているチューナーユニットを使って別の番組を視聴できる。レコーダーが常にテレビのチューナー代わりという人にはこれも便利な機能といえそうだ。
ユーザーインタフェースの多くはRD-S600から継承された。正確にいえば「VARDIA」エンジンのユーザーインタフェースは「RDエンジンHD」をほぼ継承している。表示解像度を予め想定できるテレビ製品ほど思い切った表示情報量の拡大ができないのはレコーダーの宿命だが、ハイビジョンテレビの接続も意識した、表示情報量の多いユーザーインタフェースだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR